第5話 ミス・ユー、ベイビー
*
きみと出会ったリアルワールドの風景は、薬の効き目がゆるまったときに、ふと意識にすべりこむ廃墟のイメージに似ていた。
石造りの死んだ街。内臓を内側から見あげたような尖塔の群。崩れおちたアーチ。メッキのはげたドアノブ。
19世紀に人類は一度ほろびかけ、それから一世紀をかけてみずからをゾンビ化した。21世紀はゾンビから幽霊になった。ネットワーク――それが、いまのわれわれの
ぼくらはぴかぴかの脳を持っている。素敵な脳。蛋白質とシリコンの融合体。どれだけ時代がかわっても、依然として脳は人間にとっての最高のディズニーワールドであることをやめはしない。
でも、進化は必要だ。なにごとにも。
だから、ぼくたちは脳のなかにインターフェイスを持っている。側頭葉の内窩皮質のあたり。すごくキモチイイ場所のちかくに、チップが埋めこまれている。シナプスでやりとりされる情報をデジタルデータに変換するシステムも。そこにはいろいろなものがつながる。でも、一番ふつうなのは電話。なぜなら、人間は孤独ではいられないから。
ぼくらは四六時中、電話をしている。正確にいえば、ネットの上にいる。ぼくらにとって「出かける」といえば、ネットに自分の脳をくっつけることだ。
街はネットの上にある、というより、ネットそのものが街だ。
そこにはなんでもあるし、なんでも合法だ。殺人なんて、ゲームだ。みんな、自分のバックアップを持っている。だから、殺すのはあいさつのようなものだ。犯すのもコミュニケーション。奪うのはエンタテイメント。エクスタシーは呼吸がわり。
だって、数万種類のドラッグのレシピがネットには飛び交っている。それを受信して、脳に流せば、もう。
ずっと、いきっぱなし。飛びすぎると脳波がしばらく帰ってこない。サブ・ブレインが肩がわりしてくれなきゃ、体温調節も拍動の制御もできなくなってしまう。
ぼくには256人のガールフレンドがいる。いや、512人だっけ、それとも――まあいい。けっきょくはどれだけのRAMがあるかってことだろ? 男の甲斐性ってやつはさ。
彼女たちとぼくは毎日、毎時間セックスをする。
方法はかんたん。
電話をして、あいさつをして、たがいの脳と脳をくっつけて、こすりあわせる――むろん、比喩だ。ほんとうは分泌する脳内麻薬のレシピを交換しあうのだ。もう、ジューシイな彼女のドーパミンを耳から注ぎこまれる快感ときたら!
神経繊維の一本一本が針金のようにかたくなって、とてつもない量の電気パルスが暴走する。大脳辺縁系まで熱く、しこって、獣のようにいななきはじめる。いろいろなイメージが奔流のようにはしりまわる。
狼になって、若い雌鹿を追いたてる。細い、きれいな後脚に牙をたてる。柔らかな筋に力がこもっていく。ああ。牙が気持ちいいよ。
首をふりたくる。ますます牙が深く食いこむ。苦痛に満ちた彼女のあえぎ。ああ、はやく、もっと、かじりたい。そして、血を、わきだす甘い体液をすすりたい。
彼女はむさぼられることでわななき、ぼくは貫きとおすことで我をわすれる。
脳内麻薬の濃度がうすれたら、お別れの時間だ。バイバイ、またね。また、しようね。
で、接続が切れると、またべつのガールフレンドにコールするのだ。そのへんはマクロでオート化してしまっているから、自動的に百数十回ものエクスタシーをむかえることもある。
人間の脳にエクスタシーは不可欠だ。ノーマルな脳は遅すぎる。融合したシリコンチップの処理速度に合わせるためにはブーストしなければならない。ブースターは脳の疲労をためてしまう。だから、エクスタシーが必要なのだ。出来のわるい生体コンピュータをまっとうなシリコンチップと組み合わさせるために。
エクスタシーの連発。気がとおくなっていく。そうしながら、眠りに落ちるのがぼくは好きだ。脳内麻薬のストックを絞りつくしたあと、陶然としながら、酔いが醒めた瞬間の自分のことを恐れながら、眠りの状態に移っていくのが。
そんな瞬間、あの映像がやってくる。
ぼくは子供なのだ。裸で、おなかがちょっとでている。性器は真っ白ですぼまっていて、なにか植物の器官のよう。
なにかが恐くてぼくは逃げている。古い町並みだ。自動車が走っている。すごい。ロボットには変形しないやつだ。ヴィンテージもの。まるで映画のCGのようじゃないか。
ああ、黒い車が追ってきていて、それには敵が乗っている。ギャングのように黒ずくめで、マシンガンを持っている。きっとバレットにはウィルスがいっぱい詰まっている。ぼくのファイルを食ってしまうにちがいない。それとも、ヘッダの部分を切り取って、システムに認識されないようにしてしまうのか。
ぼくは走りつづけ、心臓が苦しいことに気づいて愕然とする。危険な脈拍、異常な血圧だ。死ぬ、死ぬぞ、おまえ。
そして、気がつくと、ぼくの性器は痛いほど腫れているのだ――
**
目が覚めたときはかならず、すごく違和感をおぼえる。
肉体があるということが信じられない。脚で立たねばならないというのが滑稽だ。なにゆえに、視覚と聴覚と触覚と嗅覚と味覚の、たった五種類にすぎないセンサーで、すべてを理解したつもりにならねばならないのか。
ゆらゆらとゆれながら、ぼくは立ちあがる。重力が身体を引きつける。奇妙なほどに不自由だ。
バスルームにつくと、ぼくは便器にむかって吐きはじめる。
胃袋はからっぽで、なにを吐きだせるというものでもない。だが、リアルワールドの奇妙な原理が肉体を引きしぼる。
泣きながら、身体をケイレンさせつづける。
肉体という愚かな檻を憎悪しながら。
ぼくにとってのリアルワールドは十二平方メートルのワンルームで、そこにはベッドとバスとトイレとキッチンがある。そして、それがすべてだ。
あとはなにもいらない。情報も、娯楽も、そしてささやかな仕事も、すべてネットの上にあるからだ。ハードウェアは自分の脳にマウントされている。
週に二回、ドアの郵便受けがゴトリと鳴る。それが親鳥のサイン。食料はタブレットとチューブ、缶入りの飲料の形になっている。身体のなかではつくれないタイプのドラッグもそうやって部屋にとどく。むろん、注文はネットの上でやっている。
ひどい矛盾だが、人間は電気では動作しない。造物主のたいへんな手違いにちがいない。
ぼくは、くだらない儀式を終えると、そのままバスタブのなかに入り、シャワーのコックをひねる。
冷たい水が肌に当たる。身体がちぢこまる。反射。脳にチップを入れていても脊髄や延髄の反射までは制御できない。ただ、冷たい、という感覚を鈍化させることはできる。
ゆっくりとだが、シャワーの噴流が温かさを持ちはじめる。
ぼくは、湯がしたたりおちる自分の身体をぼんやりと見ていた。ここには、ほかに見るものがない。信じられないことに、リアルワールドでは、身のまわりのものしか見ることができないのだ。自分を変化させることも、分裂させることも、消滅させることもできないのだ。なんという不自由さだろう。
昔話では、人間は肉体を鍛えてよろこんでいたともいう。肉体など、脳を維持させるためだけの存在にすぎないことに気づかなかったのだ。すべての喜びは、すべての楽しみは脳があじわっている。肉体など、性能の悪い蛋白起源の機械にすぎない。
そうなのだ。肉体など、なにもなすことはできないのだ。なにも……。
***
――雪の降る街で、あなたと出逢い
――石畳の道をふたり歩いた
――きゅっと強く手と手をにぎり、
――なにするでもなくさまよいつづけた
――ひと組の幽霊のように
彼女の歌声が聞こえている。そこは暗い穴蔵のなか。居心地のよい隠れ家のような酒場。
階層化された街の底を探索しているうちに見つけたお気に入りの場所だ。
世界は日々増殖している。数枚のメモリを増設するだけで、世界は劇的に混迷度を増す。
新たな階層が次々と建設され、情報は更新されていく。そこでは、嘘というものはない。情報の信憑性は参照数によって決まっていく。そして、情報は扇情的であればあるほど人目をひく。参照数は伸び、次々と転送されてゆく。そのようにして<現実>がつくりだされる。
それはそれでいい。活気があるのはよいことだ。
だが、たまには変わらないものが懐かしくなる。更新されない雰囲気が心地好いこともある。
そんなときに、この穴蔵はいい。死に絶えたような基層部分の古い古い街区のその袋小路の奥にある場所。
――おそらくだれも、知らない薬
――夢みることも絶えはてて
――どこにもゆけぬものならば
――せめてあなたに逢いたくて
薬はいい。平穏をくれるから。
流入するデジタルデータを変換して、ぼくらの脳は<現実>を作りだしている。くだらない肉体はベッドに横たわっているのかもしれない。糞尿をたれながしているのかもしれない。そんなことはどうでもいい。<現実>とは脳が味わっているもののことだ。
だが、生身の脳は疲れやすい。データの奔流についていけなくなることもある。だから、薬は必要なのだ。そしてエクスタシーも。ああ、もう一時間近くもぼくはイッてない。穴蔵はデータ量が少ないから、オーガズムなしでやっていけるのだが、それでも、脳の疲れは止められない。
意識が錯綜しはじめている。そうだ。この感じ。
こわれた街のイメージが意識にすべりこんでくる。
尖塔。くすんだ石の壁。砕けた彫像。死骸。死んだのは街。それを支えていたものたち。
「眠いの?」
耳元に声がひびく。
彼女がそこにいる。赤いイブニングドレス、白い胸元、ルージュは紫、髪はオレンジ・レッド。彼女は色の集合体だ。爪はブルー、ブレスレッドはブラックオパール、ハイヒールはエナメルの赤、ピアスはホワイトゴールド――
「よく来るわね? 観光客? なわけないか」
彼女はスツールに腰掛ける。長い脚をかるく組んでいる。シガーを取りだして口にくわえる。そのままの姿勢。気がついて、ぼくはシガーに火をつけてやる。
これもドラッグ。レシピはアンニュイ? 香りはハーブだ。悪くない。
「よろしかったら、飲み物をおごってくださらない?」
率直な依頼だ。ぼくはうなずいた。
彼女はバーテンダーに声をかける。
「ジンライムを。濃くしてね」
ぼくは彼女の横顔を見つめていた。この世の中には美しい顔が無数に存在している。美しいだけの顔はつまりありふれていてつまらない。より個性的な、アピール性の高い顔のほうが受ける。最近のヒットは顔面十五パズル。顔のパーツがスライドしつつ入れかわるやつだ。パズルを解いたときには、彼女の心もゲットできるという案配だ。むろん、彼女の顔はその手のものではない。だが、美しい。奇妙に美しい。なんといったらいいのだろう。
なんとなく、なつかしい感じ。ずっと昔から知っていたような――
「なに見てるの?」
彼女がぼくの顔を見ていた。手にはグラスがある。
「乾杯しましょ」
ぼくたちはグラス同士を触れあわせた。小さく、凍った音がした。
彼女の名前は<いぶ>といった。
「ここは底よ。住んでいるのはふるい人たちばかり。へたしたら身体もなくなっているような。あなたの棺桶はどこにあるの? それとも、あなたも幽霊?」
いぶは、おもしろがっているような聞きかたをした。
リアルワールドの住所など実際には意味をなさない。そこにはぬけがらの肉しかないからだ。だから棺桶。
その肉体がなくなっても、蓄積されたデータがあれば、感情や記憶をそのままにこっちの世界では居残ることができる。それが<幽霊>。
「このへんは幽霊が多いの? きみは?」
「幽霊は好きよ。彼らは話し好きだし、たいていはチャーミングだわ」
それが<いぶ>との出会いだった。すくなくともネットワーク上では、そうだ。
すぐに親しくなったわけではなかった。彼女はかなりのかわり者だった。たいていの女の子が一度か二度のプロフィールの交換で電脳セックスをOKするのに――それも、たいていはむこうから持ちかけてくるものだ――彼女はそうではなかった。
「わたしは古風なの」
ずいぶん経ってから、彼女はそう言った。古風というよりも慎重なんだろう、とぼくはからかった。彼女の対ウィルス防御のテクニックはなかなか徹底している。ぼくだって、直接に彼女の脳にさわらせてもらうのに――むろん、比喩的な表現だ――三度ほどはバーチャルホルモンのレシピのメール交換だけにとどめなければならなかったのだ。
「むかしの女はそんなに簡単に操をゆるさなかったのよ」
<いぶ>はそう言った。
じゃあ、どうやってエクスタシーを得るんだい? エクスタシーなしには脳はやっていけないぜ。独りでずっとやっていたのかい?
ぼくが指摘すると、<いぶ>は顔をあかくした。そうして、ぼくにむしゃぶりついてきたものだ。正確には、ぼくのレシピを求めて、せわしなくリクエストコールを送ってきたのだ。
<いぶ>とはのべつまくなしにセックスした。ほとんど脳をくっつけあったまま、何十時間もすごした。
外見など意味をもたないネットワークでは、相性というやつがなによりもものをいう。一度脳をくっつけあえば、相手がどういう人間かはたいていわかってしまうものだ。
それにしても、<いぶ>とぼくはピッタリだった。
どうして、こんなにあうんだろう。不思議に思うこともあった。
理由などはないのかもしれない。長い――ことによると永劫につづく人生のなかで、説明のつかない期間があってもいいじゃないか。
彼女が穴蔵で歌うのはほんのアルバイトだった。本職はというと。
「わたしね、凄腕のハッカーなのよ」
ハッカーというのは、百年前の会社員と同じくらいありふれた職業だ。ぼくもいまの仕事――<リサーチャー>――ドブさらいの親戚――の前にはいっぱしのハッカーを気取っていたこともある。
ネットワークが複雑化して、実体のないAIもふくめて莫大なアクセスがなされると、破られるべきセキュリティもふえる。ハッカーの仕事は増えこそすれ、なくなることはけっしてない。
だが、むろんセキュリティをブレークするという点において、ハッキングは危険な職業だ。ハッキングそのものは犯罪とはいえないが、セキュリティの反撃で自分のファイルを破壊されても同様に文句はいえないわけだ。バックアップがあれば、それはあまり痛手ではないが、ファイルタイプがセキュリティに認識されると、あちこちのネットにワクチンが配布されることになり、新しい手法を編みだすまではたつきの道を奪われてしまうことになる。
「だいじょうぶよ。そんなヘマはしないわ」
<いぶ>は笑っては、どこかのデータパンクからちょろまかしてきた新しいドラッグのレシピをぼくにプレゼントしてくれるのだ。
ある時――存分にセックスをしたあと、接続を切らないままに、ふたり桃源郷をさまよいながら、彼女が言った。
「ねえ……わたしたち、これからどうなるの?」
そのせりふを聞いて、ぼくはドキリとした。くるべきものがきたのか。ネットワーク世界にも結婚というものはある。それはたぶんに相互的な自己満足にすぎないもので、制度的になんら強制力はもたないが、しかし、だれかれとなくレシピを交換しあうようなことはしづらくなる。
それに、AIの子供を持つようになれば、親子という役柄も演じなければならないだろう。それは一種のマニア的なお遊びのようにしかぼくには思えない。ちいさな子供の手をひいて、ディズニーランドをくたくたになるまで歩きまわるなどと――むろん、アトラクションの待ち時間が理論的にはかぎりなくゼロ秒に近かったとしても――けっこう気の重い仕事だ。
ぼくは一瞬か二瞬、返答につまった。脳をつなぎっぱなしだったことも災いした。ぼくのためらいはすっかりと彼女に伝わっていたのだ。
「そう、わかったわ」
奇妙なほど冷静な声で<いぶ>は言った。
「わたしは都合のいい遊び友達ということね」
「いや、そうじゃない。ちょっと考えただけじゃないか。それに、子供といっても、それはAIだ。幽霊といっしょだ。そういうのがきみの望みなのか」
ぼくの指摘に彼女はすごく傷ついた表情をうかべた。隠しようもない動揺、そして、強い憎悪。ぼくはたじろいだ。こんなむきだしの感情にふれるのははじめてだったのだ。
「――さよなら」
みじかい言葉だった。真実はいつも細切れの言葉のなかにある。
さよなら――という言葉どおりに彼女はぼくのまえから姿を消した。
****
彼女のIDは抹消されていた。新しいIDをとれば、ネットワークではまったくの別人になれる。そして、それはまったくむずかしいことではない。
なんどか穴蔵や、いくつかの心当たりの場所に行ってみたけれども、彼女には会えなかった。共通の知人に当たってみたが、手がかりはなかった。もともと<いぶ>には友人は少なかった。
ぼくはほかのガールフレンドたちとのつきあいを抹消していた。<いぶ>以外のだれかと脳をこすりあわせることには魅力を感じなくなっていたのだ。
それでもエクスタシーは必要だ。生きるためには。ぼくはドラッグに浸った。それも危険なやつ。カクテル。だれも試したことのないような非合法もの。
基層部ではそういったものも手に入れやすい。AIの幽霊が蠢いているからだ。かつては人間だったAIは、積み重ねられた感情パターンによって、人間の時の情動をそのまま保存している。そして、生前と同じようにドラッグを楽しんでいる。しかも、生体の脳では耐えられないようなとてつもないレシピを作っては悦に入っている。彼らにとって、シナプスが焼ききれようが、暴走して裏がえしになろうが、そんなことは知ったことではない。
そういったクスリは、一部の人間にとってはたまらない魅力がある。たとえば、ぼくのような。既存のクスリでは味わえない快感がほしい。<いぶ>がそういえば歌っていた。
――おそらくだれも、知らないクスリ
ぼくにはそれが必要なのだ。
すごいクスリを求めて行き着いた売人のジョーは、基層部でも最年長のAIというふれこみだった。ということは、ドラッグについては誰よりもベテランだということになる。
ぼくは、ジョーが指定したアドレスコードを叩いた。
気がつくと、鳩がたくさんいる公園のベンチに座っていた。
となりに、小柄な男がいる。肌の黄色い、背中の曲がった男だ。
「ジョーかい?」
と、ぼくは訊いた。
「IDをよこしな」
小柄な男は、鳩に餌をやりながら、小声でつぶやいた。
ぼくは、ふだん使っているIDとプロフィールを男に送った。
男はしばらく黙っていた。なにかしらを咀嚼しているようなしぐさ。そして、くちを再びひらく。
「――いいだろう。あんたのことはいくつかのデータバンクに残っている。ごく平凡な掃除人だ。あんたがセンターの手先だとは思わんが、念のためだ」
センター、システム管理者、ネット・ガーディアン、電脳警察――いろいろな呼びかたのあるそれは、この世界の元締めであり、ぼくら全員にとってのパトロンでもある。結局、ネット上のすべての生産的な仕事はすべてセンターに対してなされ、センターはわれわれに対価をよこす。食料や、チップのメンテナンスや、プログラムのデバッグ、アップロード、その他だ。
センターはわれわれに法を押しつけはしない。だが、わずかだが、禁止事項もある。生体脳を破壊するようなカクテルのレシピ配布はそのひとつだ。
「効くんだろうな?」
「むろんだ。まあ、あんたなら、客観時間で三、四日はいっちまったままだろうな。ちゃんと栄養をとっておかないと、衰弱死するぜ」
アンプルの形をしたレシピをぷらぷらさせながら、ジョーは言った。AI。もはや肉のない意識。だが、彼にも喜怒哀楽があり、欲望がある。ジョーの欲望はなんだろう。とんでもないドラッグを世間にひろめて、自分の仲間をこの世に増やすのがライフワークでなければよいが。
「ところで、<いぶ>という女を知らないか? このあたりで歌っていたんだが」
もはや習慣になっている質問だった。はかばかしい答えがかえってきたことがない。
「知ってるぜ。おれのお得意さまだった」
ジョーはこともなげに言う。ぼくの心音が――モニターしているから断言できるが――猛烈に速度をあげた。
「ほんとうか!?」
「でも、死んだよ」
しごくあっさりとジョーは言った。
「なんだって!?」
「あの娘はおれのドラッグの数少ない理解者だった。しばらく買いにこなかったが、ひと月ほど前にひさしぶりにやってきた。そしてしこたま買っていったよ。なんに使うのかって聞いたら、ひさしぶりに大仕事をやらかすって言ってた。あの娘は、ドラッグで自分自身をとぎすましてからセキュリティに挑むんだ」
ひと月前――彼女と口論したあたりだ。
「あれほどの準備をしていくんだ。とてつもなく硬いセキュリティだろうと踏んでいたが、あの娘は言いやがった。『センターのデータバンクをのぞいてくる』ってな。それっきりいなくなっちまった。商売道具のドラッグを仕入れもこねえ。だから、死んだっていうのさ」
ぼくはしばらく言葉がなかった。ただのハッキングではない。センターへのハッキングは、最大のリスクを意味する。
「――ほんとうの意味での死人だよ。おれなんざ、肉があったころよりもピンピンしているが、な」
ジョーは、にやにや笑っていた。そうだろう。AIであれば、栄養補給のためにリアルワールドの棺桶にもどる必要はない。
「ところで、おまえさん、カクテルを買いにきたんだろ?」
ジョーは自分の商売にもどろうとしていた。だが、もうぼくにはジョーのカクテルに用事はなかった。行くべき場所ができたのだ。
ぼくは無言で金をジョーに握らせた。金は情報やプログラムだ。それが、通貨になっている。ジョーは驚きながらも、それを受け取った。
「これは時間をとらせた礼だ」
言うなり、ぼくは自宅にもどるコードを叩きはじめる。
「この変わり者め!」
悪罵にちかいジョーの声が耳にのこった。
*****
ぼくは、リアルワールドに降りたち、一定の儀式をすませた。つまり、吐き、シャワーを浴び、食事をした。
ふだんなら、またネットに戻るところだ。しかし、今回は――今回ばかりはそうではない。
一着しか持っていない外出着を取りだして身に着ける。非常用とマーキングされている。これを着て外へ出るということは、尋常ではない非常時なのだ。
扉はものすごく重い。やせ細ったぼくには、かなりつらい。
なんとか扉をあけて、外へ出た。
廊下は静まりかえっていた。黄色い非常灯だけがぼんやりと光っている。
このフロアのマップを思い浮かべようとしたが、だめだった。そうだ。ここはネットワークの上じゃない。データはどこからも手に入れられない。なんという不便さだろう。
重力にさいなまれながら、ぼくは歩く、という行為を続けた。
すぐに息が切れる。肺が焼けつきそうになる。
タブレットを口にふくむ。ドラッグの助けが必要だ。でも、一番よく効くやつはネットワークじゃないと手に入らない。
経口剤は即効性ではない。しばらく苦痛の時間がつづく。ようやく効きはじめて、身体の各部の痛みがひいて、幸福感がもりあがってきたころ、エレベーターの前に着いた。
箱のなかで、ぼくは座りこんで、あえぎつづけた。
不慣れな感覚。身体が下に引きずられていくような。それと、脳が受けとる快感があいまって、身体がどんどん熱くなっていく。
どれくらい経ったろうか。箱の動きがとまった。ドアがすばやく開く。
嗅ぎなれない匂いが鼻についた。
外は暗い。まだ建物のなからしい。だが、ここの空気はコンディショニングされていない。たぶん。
ぼくはふらふらとエレベーターの外に出た。建物のなかの照明は落ちていた。わずかに行く手に光が見える。窓か、扉か、いずれにせよ、外の方角だろう。
すこしクスリが効きすぎているかもしれない。なにしろ、ふだんとちがって、脳はネイティブのまま動作している。チップが稼動していない。ドラッグは、脳を過剰回転させている。処理すべきデータのないまま、空回りしている。
回線をひらいても、どこのネットともリンクしない。怒濤のようなデジタルデータの奔流は押しよせてこない。猛烈な孤独。自分がどういうキャラクターであるのか、参照しようにも大部分のデータはネットワーク上のデータバンクにストックしてある。自分の脳に残してあるのは、基礎データとここ数ヶ月のことくらい。
自分がどういう子供だったのか、覚えていない。
子供だったことがあったのかさえも。
光が強くなった。
白い壁。ガラスの壁。外につながる壁。外と隔てている壁。
それはガラスでできた大きな扉だった。自動ドアだが、電源は落ちているらしい。
わずかにそれは開いていた。小柄な人間ならきっとくぐりぬけられるくらいに。
ぼくはいぶをイメージした。ネットワークでは、むろんスマートだったけれども、けっこう大柄で肉づきもよかった。
ドアに両手をかけて、開口部をひろげようとした。かなりの力仕事だった。
ギュルギュル、と唸るような音がして、わずかにドアは左に動いた。
ぼくは外へ出た。陽がすこし陰っていた。
リアルワールド。はじめて降りたった見知らぬ世界。地上の街。朽ちた街。
――地獄。
建物群が物いわず立ちはだかっている。
ガラスを多用した建物たち。広い道路は音もなく、道端には造りつけのオブジェのように自動車がとまっている。画一的なデザイン。色彩はすべてが灰色っぽく、くすんだように沈んでいる。
ここは死者の世界だった。ネットワークにリンクできない。電波はぶあつい地面に隔てられて、ここまでは届かない。あらゆる活動的な世界から隔絶されている。
ぼくは呆然と街を歩いた。
だれもいなかった。動くものもなかった。
クスリが効いているおかげで、身体は動いてくれた。幻覚剤を身体に入れれば、もう少し色彩豊かな世界がよみがえるかもしれないが、試す気にはなれなかった。ここには、リセットボタンがない。バッドトリップをしたら命とりだ。
街はどれだけ歩いても尽きなかった。ただ、より暗く、より湿っぽく、より矮小になっていった。
せまい路地、放置された看板、道は風化したゴミにあふれ、ただ有機物は分解されつくして、匂いはなにもしない。
このあたりは、穴蔵に似ている、と思った。
頭がズキズキ痛みはじめた。クスリが切れかけている――
死んだ街のイメージがすべりこんでくる。錆びた色の尖塔、朽ちた橋、こわれた彫像――ここが、そうなのかもしれない。ここが。
ぼくは地面に倒れた。冷たいアスファルトが心地よい。
地面の高さになったぼくの視界に、二本の足首が見えた。ほそい、ほそい、針金のような足首が。
「あなた、だれ?」
声が降ってきた。記憶にあるよりも若くて高い声。それでも、ぼくにはわかる。彼女は<いぶ>だ。
******
気がつくと、ぼくはソファに寝かされていた。そこは、大昔のバーのなからしい。暗くて、あたたかかった。
彼女は、カウンターのスツールに座っていた。思ったよりも背が低く、年も若かった。髪の毛は長くて、腰まであった。あごが細く、黒目が大きい。肌はぼくと同様、蒼いほどに白い。身に着けているのは、ベージュ色のブラウスにブラウンの巻きスカート。まるで大昔のドラマの登場人物のようだ。
「あなたを運ぶのには苦労したわ。やせているくせに、重いのね」
「ここは……?」
「わたしの家――ほんとはちがうけど。使わせてもらってる。ここには食べ物や飲み物もあるから」
ぼくは、身体を起こしかけて、苦痛にうめいた。すっかりドラッグの効果はぬけ落ちて、さらに軽い禁断症状がでている。ネットワーク上でなら、無意識のうちに補完ドラッグを投与して、脳の安定をはかっているはずだが、ここではそういうことはできない。
「リアルワールドでまさか人に出会うとは思わなかったわ。あなたはだれ? 冒険家? それとも自殺志願者?」
「きみは、<いぶ>だね? そうなんだろ?」
ぼくの問いかけに、彼女は顔をしかめた。困惑――疑問――そういった感情、たぶん。
「じゃあ、あなたは<あだむ>というわけ? それともオルフェウス? イザナギノミコトかしら?」
彼女は<いぶ>だった。そして、ぼくのこともわかったのだ。ぼくらは生身の姿では初対面だ。だが、ちょっとでも話をすれば、ぼくらは互いがわかる。
「わたしもそうだけど、あなたもひどいやせっぽちね。知ってる? 昔のSFではわたしたちのような姿をしたエイリアンが地球を侵略しに来てたのよ」
<いぶ>はあざけるような口調で言った。
「――会いたかったよ」
ぼくは言った。どれだけの意味をこの言葉に持たせられるのだろうか。
「そう」
そっけなく彼女は言った。
「で、なにしに来たの?」
ぼくは絶句した。具体的になにをどうしようという計画はなかった。ただ、出会えれば、おのずから答えは見いだせると思っていた。たぶん、ふたりは抱きあい――抱きあって――それから――
なにをすればいいのだろう。脳をこすりあわせることはここではできない。そして、彼女はたぶん――
「わたしの脳にはもうチップはないのよ。メディカル用のナノマシンが分解してしまったわ」
ぼくらの身体には、医療用のナノマシンが注入されている。だから、生まれて以来、病気を経験することがない。むろん、チップは異物ではないとナノマシンは認識しているから、それに攻撃をくわえることはない。ふつうは。
「ナノマシンもセンターからの指令でどうとでもふるまうのよ。いっそ、脳を破壊してくれたほうがよかったのに」
「やっぱり、センターをハックしようとしたんだね。そして、ネットから追放された」
彼女は、うつむいた。あまりにも無力な仕草だった。
「身の程しらずだと言いたいんでしょう。でも、わたしにはそれしか思いつかなかった。どうすれば、うばわれたものを取りもどせるのかを知るためには――」
「うばわれた……もの?」
ぼくは問いかえした。なんだろう。センターはわれわれに与えてくれるだけだ。そうではないのか?
「のんきなひとね。というよりもバカよ。どうしようもないお人好し。ネットワークがあたえてくれる快楽に骨の髄までひたりきって、自分がどうされたかを思いつきもしないんだわ」
あからさまな罵倒だった。さすがにぼくも不快になる。いったい、なにが不満だというんだ。
「わたしたちは人工子宮から生まれるわ。そして、へその緒を切られると同時に頭蓋骨を開けられるのよ。チップを埋めこまれ、脳に配線をされ、電話をつけられる」
それは進化だ。そのおかげで人間は膨大なデータを瞬時に処理できる。あたらしい生き物になれたのだ。
「そう。そのかわり、性器を切除されるわ。人工生殖による人口の完全な制御。わたしたちは自分の子供を持つことも許されない――」
――そうだ。ぼくにはない。だれにもない。親というものがない。
――親になることもできない。ただ、演じることだけしかできない。
――ぼくらは一代きりで、そして意識は永遠に保たれる。
「わたしは赤ちゃんがほしかった。いつわりのデータでもいい。笑ったり、泣いたりする自分の分身がほしかった。そして、その仕事をいっしょにできる人はあなたしかいないと思った。でも――」
「いぶ……」
「わたしも、同じだったのよ。演じるのはいや。ほんとうの子供がほしかった。だから、センターにハックしたの。生殖器を再発生させられる遺伝子操作技術や、あるいは、わたしたちの遺伝子をつかっての人工授精の方法を調べるために――そういう技術はすべてセンターが独占しているから……」
――あの憎悪は、むきだしの感情は、それだったのか。
奪われた<未来>への哀惜。
それを奪った者<センター>への憎悪。
<いぶ>はそれに闘いをいどみ、敗れた。
「……おわったのよ。もう、わたしにはなにもない」
<いぶ>がうつろにつぶやく。
「いぶ……」
ぼくの呼びかけもうつろにしか響かない。
「それはネットワークでのハンドルよ。いまのわたしはだれでもない。ひとつの肉よ。だれでもないの……」
涙さえもでないまま、彼女は静止していた。
ぼくに、なにができるのだろう。彼女の心の痛みをいやすために。ネットワーク上でなら、話はかんたんだ。自分の知るかぎりのレシピを彼女にあげる。彼女の快楽中枢をやさしく愛撫できるよう。
でも、いまは――
「試してみよう。ぼくらにできることを」
ぼくは、彼女にふれた。傷だらけの小動物のような目を<いぶ>はした。
どうやったのかは、自分でもよくわからない。気がつくと、彼女はぼくの腕のなかにいて、おとなしくなっていた。
「いまは、ぼくがそばにいる」
*******
白い身体を重ねあった。
それは聖なる儀式だった。
ぼくたちは唇と唇をあわせた。たがいのエネルギーを交換する。デジタルではない、たくさんのデータがめまぐるしく行きかう。
名づけられない、解析できない、分類も、改竄もできない、かけがえのないデータたち。
それぞれの身体に触れる手が、その奔流をさらに増幅していく。
どうして、身体にふれられると、こんなにもこころよいのだろう。
まるで、大量のドラッグを叩きこんだ時のように――いや、ちがう。こんなドラッグはない。バーチャルホルモンには、これに近い快感を与えてくれるものはある。だが、それは受けとるだけだ。掌につたわる、彼女のぬくみや柔らかさの感覚もなければ、それが彼女にあたえる影響も感じとることはできない。脳をこすりあわせているだけ――実際にはデータのやりとりだけだ。それはそれで純粋で激しいものだ。だがこんなにも心動かされはしない。身体を寄せあい、言葉をつむぎながら、たがいに高めあうことによって呼び起こされるものとは根本的にちがう。
「ほしいの」
彼女が言った。目がうるんでいる。どこか、遠くをみている。もしかしたら、未来を見ているのかもしれない。それとも、とおい過去か――
「ほしいの、あなたが」
その意味はわかっている。ぼくはうろたえた。<それ>が答えなのだとしたら、ぼくには正解を彼女にあたえるすべがない。
「ごめんよ――ぼくにはないんだ……その……」
そして、彼女にもない。ぼくを受け入れる場所が。
「あるのよ――あるの……」
彼女の子供のように細い指が、ぼくの股間のまえに伸びる。
「ここに――」
「ああ」
ぼくの喉から声がもれた。
彼女が虚空を握っている。ゆっくりと動かす。そうされるたびに、ぼくの脳が――もっと深い、底の部分があえぎだす。
奇妙な感覚だった。なにかが生えだして、ゆらいでいるような。
まばたきをして、ぼくは言葉をうしなった。
そこにはあった。夢のなかでしか見たことのない自分の性器が。彼女の掌のなかで、痛いほど張りつめたそれをぼくはたしかに見ていた。
「きて――」
彼女はぼくから手をはなし、両腕をひろげて、ぼくをよんだ。
ぼくにはわかっていた。彼女のその部分がぼくを待っていることを。ぼくのためだけに開かれたその部分が、じゅうぶんに潤っていることを。
ふたりはひとつになった。
世界は白熱し、音楽に満ち満ちた。ホルンが歓喜の叫びをあげ、ヴィオラがはやしたてる。ハープが歓喜のあいまのやすらぎの歌を奏で、そうして、力強いコントラバスが律動をはやめていく。
ひとつになったふたりは、高く高く舞いのぼった。
「しあわせだわ、わたし」
彼女がぼくの胸に顔をうずめて泣いた。
「もう、ひとりじゃないのね」
「そうだ。きみも、ぼくも、もうひとりじゃない」
ぼくは答えつつ、不安が心に這いのぼってくるのを感じていた。この幸福がいつまで続くのか。そして、手に入れた翼は、はたして本物なのか。
行く手に太陽があった。強い力を持った生命の輝きだ。
「ねえ、あそこへ行きましょう。あそこがわたしたちの宮殿よ。そこで、わたしは子供を産むの。あなたの赤ちゃんを。ふたりの命がひとつになった証しを――」
彼女の言葉に、ぼくは全力ではばたいた。なんとか、彼女の願いに応えたい。だが、翼は疲れ、そして傷つきはじめていた。いつわりの時間が終わろうとしている。
そして、太陽にあと一歩と迫ったときに――
翼が一瞬にして蒸発した。墜落しはじめる。ぼくは彼女を強く抱きしめた。彼女もぼくを抱きしめる。
ごめん、ごめんよ、とぼくはつぶやき続けていた。彼女は泣いていた。だが、ぼくを責めているのではない。自分を責めながら泣いていた。
ぼくは、ソファから転げおちた。絨毯を背中にむずがゆく感じながら、ソファの上の彼女を見あげた。
彼女の頬に涙がつたっていた。
幻想だった。ぼくには性器などなかった。彼女にもなかった。脳が見せた夢だったのだ。あのめくるめく瞬間は。
ぼくたちは、永久にひとつにはなれない。たとえ、触れあうことができ、わかりあうことができたとしても。
「ごめんね……」
「ごめんよ……」
たがいに声をかけあい、そしてだまりこんだ。
彼女は厨房に立ち、太古の女がそうしたように小麦粉を練りはじめた。
ぼくはそれを見守った。いま、ぼくにできる仕事はそれだけだったから。
イーストを入れ、水と塩を加え、生地を作っていく。
ぼくたちは肉を維持するために食べつづける。そして、その命を未来につなげることは許されていない。
彼女がつくったパンは小さな人間のかたちをしていた。
「赤ちゃんよ」
と、彼女は言った。しずかに微笑んでいる彼女はおかあさんのようだった。
「赤ワインはないんだ」
と、ぼくは言った。
「いいの……もともとそれは替わりなの。ほんとうは……」
ぼくは、彼女の指にナイフをあて、そして、自分の指にもそうした。
儀式は贄(にえ)をもって終わる。
ぼくたちは、ぼくたちの生まれなかった子供にふたりの血を注ぎかけた。
I MISS YOU, MY BABE.
「ミス・ユー、ベイビー」 了
1996/12/31 22:33
1997/5/17 字句修正
SF短編集「1996」 琴鳴 @kotonarix
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます