第27話 牧場でゲームしてみた 1
前から楽しみにしていた、エビーニャ牧場にやって来ました。
この牧場でモウモのミルクで作る【アイスクリーム】を恋人と食べるのが最近の流行ですの。
【アイスクリーム】はユイナーダ王国の始祖トール・ユイナーダ王が作り全世界に広まったデザートで、とっても冷たくて美味しいんです♪
エビーニャ牧場ではモウモの他にもブブンタやクックル等いろいろな動物を飼っています。
そして、広大な野菜畑。
エビーニャ牧場では王都や学園街在住の者の為に、乗馬訓練も出来る様になっています。
貴族が馬に乗れないのは、困りますからね。
私も小さい頃から、訓練を続けています。
今日はせっかくなので、ライネル兄様に教えてもらう予定です。
牧場に着いて暫くしたら、意外な方にお会いしました。
私と同い年くらいの可愛い女の子を連れた、エミール殿下の護衛騎士ハインツさんです。
彼はパメラ第二王女殿下が降嫁された候爵家の次男で伯爵位を持っています。
『外国から来た、従妹と遊びに来ただけだ。』
と言ってますが絶対嘘です。
彼女凄く嬉しそうに、ハインツさんを見つめてますもの。
女の感は当たるんです♡
私達はそのご令嬢…ポーラルタオ王国公爵令嬢ローラ様とすっかり仲良くなり、一緒に遊ぶ事になりました。
私達が美味しい【アイスクリーム】を食べていると、何やら農場の方で騒ぎが起こった様です。
一体何事かと思っていたら、足元を茶色い何かが通り過ぎようとしていたのをシルバーが捕まえました。
嬉しそうに尻尾をピンと立てて持って来てくれたのを見て、私は何だか嫌な予感がしたの。
まさか…またノーネズミ?
どうやら違った様です。
コレは偶に出て来て畑等を荒らす魔獣【モグラン】ですわね。
たいして強い魔獣では無いはずですのに、何故そんなに騒いでいるのでしょうか?
暫くして牧場のスタッフさんから、《農場の方で【モグラン】が大量発生したので退治して欲しい》という、緊急クエストの依頼が出されました。
《【モグラン】1匹に付き銅貨2枚。
一番多く倒した方には【乳製品一年分と牧場の無期限入場無料パス】を差し上げます。》
あら、けっこう良い条件ですわね。
すると面白い事が大好きな姉が、すかさずこんな提案をしてきました。
「面白そうね♪ちょうど二人づついるから競争しない?」
何それ、本当に面白そうですわ。
「でも、私何も武器が有りませんわ。」
と仰る公爵令嬢ローラ様に姉はまた、何処で手に入れたのか【モグラン叩き
面白そうなので私も借りましたわ。
「コレで地面を叩くと【モグラン】が地上に顔を出すの。それを更にコレで叩くか武器で攻撃すれば、簡単に倒せるんですって。
まだ沢山有りますわよ♪」
「優勝チームには特別にこの【
そ、それは先月【本の湊】で大銅貨2枚以上お買い上げの方に配られた抽選券の特等賞!
姉の台詞に目を輝かしたのは、私達だけでは有りませんでした。
周りにいる他のお客さんや牧場のスタッフの人まで、参加する気満々です。
「不公平になってはいけませんから、この【ポコハン】をお一人銅貨5枚でレンタル致しますわ。
もちろん私は参加しません。」
え…レンタル?
お金取るの?
此処には100組以上のお客さんがいます。
デートや家族連れで来ている方が殆どですから、少なく見積もっても
くっ!やられましたわ!
「さぁ皆様、早くしないと【モグラン】に逃げられてしまいますわよ♪
【モグラン叩きゲーム】let's startingですわ!!」
姉の掛け声を合図に皆様、あちこちに散って行きました。
いつの間にかクエストを姉が指揮ってますが、私も負けてはいられません!
せめて【ポコハン】のレンタル代は稼がないと……
―――――――――――――――――
※1
ユイナーダ王国の王都に本店を構える、大人気レストラン。
※2
大銀貨1枚で日本円換算10万円の価値。
後書き
次回、新キャラ『ハインツ』氏の正体が明らかに!
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