第23話 ケイトと勇者シルバー 2-6
この様子だと
それにしても何故同じ大きさのものが3匹づつ一緒に行動しているんだ?
俺はクリスとシルバーの攻撃で伸びているサンドワームの幼体を地面から引っ張り出してみた。
何とこのサンドワーム、1つの胴体に首が3つという変異種だったのだ!
ヤバイ!非常にヤバイ!!
慌ててクロを呼んで、この事をおそらく既に此方に向かっているであろう第二騎士団に同行している魔術士に、知らせるべく手紙とを変異サンドワーム(幼体)の実物を持たせて使いに出した。
シルバーにクリスの事を頼んで俺はライネル様の方に向かった。
流石のライネル様も変異サンドワームに苦戦しているようだ。
残り2匹だが首は4本ある。
俺も1匹引き受けて魔銃で応戦する。
出来れば弾切れ前に倒したい。
他の装備じゃ変異サンドワームには勝てそうにない。
それにしてもコイツら一体なぜ変異したんだ?
まぁそれを考えるのは、コイツを倒してからだな。
******************
(ライネルside)
サンドワームが【三位一体攻撃】とかありえねぇだろ!
と思って戦っていたが、クリス達と一緒に行動していたアークが戻って来て、とんでもない事を知らせてくれた。
なんとこのサンドワーム、3つの首と1つの胴体を持つ変異種だったんだ!
つまりサンドワーム版の、ケルベロスみたいな奴だ。
なんとかほぼ同時に変異サンドワームを倒し、安心したのも束の間、地面が大きく揺れ俺達は慌ててその場を飛び退いた。
すると俺達が今まで居た場所に8本首の変異サンドワームが現れたのだ!
どうやらコイツがラスボスの様だ。
だが拙い事に先程までの闘いで殆ど魔力を使い果たし、中級魔法を1発撃つのがやっと。
このままでは勝てそうにない。
アークの方も魔法銃の弾切れ寸前だろう。
とにかく、騎士団が到着するまで時間稼ぎをするしかない。
と思っていたのだが、どうやらそうもいかないらしい。
変異サンドワーム(ボス)が、標的を俺達からクリス達に変えたのだ!
腰が抜けたのかクリスの動きが拙い。
そんなクリスの服の襟首を咥え、シルバーは右へ左へ移動している。
もうアレは猫の動きじゃない!
だがそれも限界だ何しろシルバーは猫だから体力的に……
何とか射程距離まで追いついた俺はファイヤーストームを、アークは魔法銃でウォーターストームを偶然同時に放った。
すると計らずも先程ボルネオール姉妹の放った合体魔法よりも巨大な爆発が起こり、一瞬で変異サンドワーム(ボス)の半分近くを吹き飛ばしていた。
この合体魔法、マジでヤバイな。
クリスはシルバーの張った結界で無事だったが、あの轟音で気絶していた。
シルバーは……平気そうだな。
俺達の攻撃でかなりやられている変異サンドワーム(ボス)の隙をついて、安全な場所までクリスを引きずっていった。
どんだけ優秀な猫だよ!
首を5本吹き飛ばされ、それでも暴れる変異サンドワーム(ボス)の首を避けながら、俺の貸した予備の魔法剣でアークが応戦している間に、俺は魔法剣と魔法銃の最後の一発で胴体に風穴を開け、どうにか変異サンドワーム(ボス)を倒す事が出来た。
流石にこれ以上は無理だ……
この様子をやっと到着した騎士団が、目撃していた為、俺達こそが【真の勇者シルバーのパーティー】と公式に発表される事になった。
良いのか?
即席パーティーの上に肝心の勇者が猫なんだが……
因みにクリスはシルバーに引きずり回されてボロボロになっていたが、ポーションを飲ませたのでたぶん大丈夫だ。
と思う……
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