第24話 ケイトと勇者シルバー 2-7

(ケイトside)



私と姉達が学園街の門に向かっていると、猛スピードで私達がやって来た方向に軍馬に騎乗した第三騎士団が、通り過ぎて行きました。




きっと私達の魔法で起こった爆発音を聞きつけて、確認に向かったのでしょう。

そもそも救援信号を、出していましたしね。

早めに移動して正解でした。




学園街の門の一室で、衛兵隊に捕獲保護した人達を引き渡していたら、外から私達のより大きな轟音と風圧を感じました。

一体何事でしょうか?




その翌日、私達は学園長室で学園長先生からお説教を受けました。




なんと私達が捕獲保護した冒険者は【偽勇者シルバーパーティー】だったのです。

正体がバレて王都から逃亡したところで騒ぎに巻き込まれて気絶していたのですって。




『侯爵家と伯爵家の令嬢なのに、危険な事に首を突っ込むなどと!!

何か有ったらどうするのですか?!』




学園長先生は、かなりお怒りです。




そして、昨日使った合体魔法も『危険だから使用禁止!』と言われてしまいました。

せっかく考えたのに残念です。





しかも私達が立ち去った後、3つ首の変異サンドワームが大量発生したのだそうですわ!

ボスは8つ首の変異サンドワームだったのですって。

まるでヒュドラの様です。

怖いですわね。




そしてその変異サンドワームを倒したのがなんと、シルバーと私の専属執事のアークと使い魔のクロ、姉の専属執事見習いのクリス、そしてライネル兄様だったのです。




流石ライネル兄様ですわ♡




ライネル兄様達【勇者シルバーのパーティー】は後日、変異サンドワームから学園街を守った事が評価され、国王陛下に謁見し表彰される事になりました。




代表はライネル兄様です。

何故ならパーティーの中で、1番身分が高く表に出れる人物がライネル兄様しか居なかったから。




実質的なリーダーは最年長のアークですが、元泥棒スパイなので、こういう表舞台に出る事は出来ません。




クリスは『ライネル様を差し置いて、自分が代表として出るなんて!』と言って速攻で断りました。

『変異サンドワームのボス戦では何の役にも立たなかったし、寧ろ二度とこの人達とパーティーは組みたくない。』と言っていました。

何があったのでしょう?




シルバーは、見た目使い魔ですし。

クロはアークの使い魔です。




しかし、このままではまた【偽勇者シルバーパーティー】が大量発生してしまいます。

そこで姉がある提案をしたのです。




「ライネル兄様がシルバーとクロを連れて、陛下に謁見すれば良いんじゃない?

こんな大きな黒虎猫と変異イロガラス連れたパーティー何て、他に居ないわよ♪」




なるほど、その手がありましたか!

姉の作戦は採用され、ライネル兄様はシルバーとクロを連れて謁見する事になりました。




こうしてライネル兄様を代表として【勇者シルバーのパーティー】は公式発表され、以後【偽勇者パーティー】が現れる事はかなり減少し、現れても直ぐに逮捕されました。




と、ここまでは良かったのです。

【魔生物研究所】から、変異サンドワームの調査結果が発表されたのです。




なんと!サンドワームが変異した理由が……

【殺鼠団子を食べたノーネズミを大量に食べたから】だったのですわ!




どうやら姉とそのが作った『殺鼠団子』に含まれている何かの成分を大量摂取すると、変異を起こすみたいですね。

『ノーネズミは身体が小さいので変異する前に死んでしまったが、サンドワームは身体が大きく、

を大量摂取してしまったから』だったようです。




せっかく姉に対する皆んなの株が上がったのに、矢張りろくな事をしていませんでしたわね。




当然、姉とそのの作った殺鼠団子はレシピごと没収されてしまいました。




後にこの殺鼠団子のレシピは、姉のの手によって改良され、ネズミ系の魔獣による被害を大幅に減らし主婦や農家、飲食店の方を中心にたいへん感謝されたのはまた、別のお話しです。



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『国立ユイナーダ学園高等部外伝~どうやら俺はただのモブではなかったらしい』


そちらも宜しくお願いします。

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