第21話 ケイトと勇者シルバー 2-4
「とりあえず、魔力温存でいきますわよ!」
そう言って姉がアイテムポーチから、丸い団子の用な物を取り出しました。
「あら?エリーそれは?」
とポリーン姉様が尋ねると姉は自慢気に
「【殺鼠団子】よ!この前お友達と一緒に沢山作ったの♪」
と答えた。
「何で?」
と私が尋ねるとニッコリと笑って
「皆んなが此処でノーネズミ退治するから、逃げたノーネズミが全部学園や学園街に集まって来たの……
その所為で私が大事に取ってあった【ユウリン館】のクッキーがノーネズミに食べられたのよ!
悔しくて、お友達と一緒にこの【殺鼠団子】を作ったの。」
【殺鼠団子】というからには、ネズミ系に効く毒団子でしょうか?
そういえばこの間、シルバーを借りに来てましたわね。
「シルバーちゃんのおかげで、ノーネズミの巣穴も見つかったし♪
その時お友達と一緒にノーネズミと撮った絵を見せてあげるわね♪」
今、そんな事やってる暇は無いのですけど……
それにしてもこの【殺鼠団子】というの食い付きが良いですね。
それ程お腹が空いているのでしょうか?
食べれば死ぬのが分かっているのに、どんどん引っかかってます。
でも流石にジェネラルノーネズミと、その取り巻きは引っかかりませんね。
と、思っていたら取り巻きの1匹が急に苦しみ始めました!
どうやら誘惑に負けて手を出してしまったようですね。
その様子を見て、ジェネラルノーネズミは酷くショックを受けたようです。
姉はそれを見逃さず、私にアイコンタクトをしてきました。
私達はジェネラルノーネズミに【必殺技の合体魔法】を使ったのです!
姉の
チュドーン!!
2つの魔法がぶつかった途端、轟音が鳴り爆風がまき起こりました。
ジェネラルノーネズミ達は、魔法の影響でほぼ全滅です。
後ろに居た、ポリーン姉様が咄嗟に土壁ウォールの魔法を使っていなかったら私達も危なかったかもしれません。
やはり、練習通りに
でもそれだと威力が、足りないと思ったのです。
それは姉も同じでしょう。
とりあえず、目標は達成したのでジェネラルノーネズミや周りにいる取り巻きのノーネズミの魔石を回収して帰る事にしました。
まぁ魔石の回収をするのは、ミリア達ですけど……
しかしポリーン姉様が『せっかくジェネラルノーネズミを倒したのに置いて帰るのは勿体無い。』とおっしゃったので回収する事にしました。
こういう時、アイテムポーチって便利ですね。
学園街の方に向かって歩いていると、途中で勇者っぽい格好をした人と魔法使いっぽい格好をしたケバいおばさんと剣士っぽいチャラそうな男と格闘家っぽい格好をした痩せてひ弱そうな男と何故かシスターの格好をした気持ち悪いおじさんが倒れていました。
コレは……
落ちていたケバいおばさんの杖を拾って、突いてみました。
ツンツン……
「うぅっ……」
あ、生きてた。
「お嬢様!いけません!!
そんなバッチい物触っちゃ!」
ミリアに杖を取り上げられました。
「あら?その杖って王都の武器屋で大金貨1500枚で売っていたミスリルの杖じゃありませんか?
確か何処かの冒険者パーティーに『
そう言ったのはポリーン姉様のメイドのフィリーです。
彼女は武器マニアでよくお休みの日には、『武器屋巡り』をしているのだとか。
よく『彼氏が出来ない!』と嘆いていますけど、そういう脳筋なところが原因ではないでしょうか?
「まぁそうなの?!じゃあこの方達って高名な冒険者なのかしら?」
というポリーン姉様に姉は
「たぶん違うと思いますわ。高名な冒険者ならこんな所に倒れている訳ありませんもの。
それに『借りたまま返さないのは、泥棒』ですわよ!
とにかくこのまま、置いて帰って後で何か言われたら困りますから、
どうやって?
そう言って姉はアイテムポーチから、紐の付いた板を取り出しました。
「【重量軽減ボード】~♪」
何やら不思議な節を付けて取り出したのは、市場等で使われている荷運び用の車輪の付いたボードでした。
「ちょうど人数分有るからコレに乗せて帰りましょう。」
ミリア達に倒れていた人達を乗せてもらい、
「いいですわね!私達は#ピクニックに来ていて偶々倒れていたこの方達を保護したのです。
決して私達の魔法に巻き込んだのでは、ありませんわよ。」
「「は~い!」」
姉の提案により、『【ジェネラルノーネズミ】を倒したのは、勇者シルバーのパーティーで、私達は偶々通りがかっただけ。
他の依頼に行く途中だったので知り合いの私達に国とギルドへの報告を頼んだ。』という事にしました。
だってバレたら絶対怒られますもの……
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