第20話 ケイトと勇者シルバー 2-3

私達姉妹とポリーン姉様、それぞれの専属メイド達は今、シルバーがキングノーネズミを獲って来たと思われる、学園街から馬車で1時間程離れたに来ています。





大事な事なので二度言います!

です。

現在ここは沢山の冒険者達が『2匹目の泥鰌どじょう』を狙って草原を踏み荒らし、草を刈りまくって、ほぼ更地になっているのです。





「何か前と全然違う……。」

と、姉が呟いた。




以前、領地に帰る途中に通った時は、王都への街道を除けば、一面に大人の膝丈程の草が生茂り、薬草も生えていたので、駆け出しの冒険者や皆んなのちょっとした小遣い稼ぎの場所でした。




野兎や狐、普通の小動物も偶に見掛けるのんびりした場所だったのに……




こういうのを【かんきょうはかい】っていうのだと、ライネル兄様がから聞いた事があります。




「でも、これだけ見通しが良ければ、何かに襲われる心配が無くて良いのじゃないかしら?」




と、呑気な事をポリーン姉様がおっしゃってますが逆に隠れる所が無くて、見つかり易いとも言えます。

何か嫌な予感がしますし……



「そんな事より、コレは一大事だわ!

【生態系】が壊れて、魔獣が生まれ易い環境になっているわね。

もしかしたら、もう何か生まれてるかもしれないわ。」




姉の感は当たります。

案の定、何かが地面の下から近づいて来る気配がします。




コレには流石に、ポリーン姉様達も気がついた様で、私達と専属メイド達は、慌ててその場を離れました。

私達が先程まで居た所に大きな穴が空き、中からこの前シルバーが獲って来たのと同じくらいの大きさのノーネズミと沢山のノーネズミが出て来ました。




また、キングノーネズミの幼体かと思いましたが、毛色が変です。

アレはもしかして、【ジェネラルノーネズミ】?

手が白く上半身が黒でお腹が白、下半身の毛色が何故か半ズボンを履いた様に赤く、半ズボンの前側に黄色い斑点が2つある変な柄のネズミです。




しかも顔が凶悪で、全く可愛くありません!




キングノーネズミの幼体には、1匹づつ【ジェネラルノーネズミ】が付くと言います。

もしかして…シルバーが獲って来たキングノーネズミに付いていた個体でしょうか?




その証拠に私の事を物凄く睨んでます!




何時も一緒に寝たりしてるから、シルバーの匂いが付いているのかしら?




此処で普通の令嬢なら悲鳴をあげて倒れるところでしょうが、私達は魔法が使えます。

ポリーン姉様は土魔法、姉は火魔法、私は水魔法が得意です。




この間、必殺技も考えました!




姉の火魔法と私の水魔法の威力を調整して、全く同じタイミングで放ち、大爆発を起こす【合体魔法】です。




ちょっとしたピクニックのつもりで、冒険者をしている他の学園生の方達と一緒に来たのに、大変な事になりました。

少しでも油断すると、ノーネズミが襲って来ます。




「小さいから、何処からでも入って来るのよ!

最近の乱獲で数が減っているからまだマシだと、思うわ!

とりあえず、円形に集まって死角を無くしましょう!」




姉がまともな事を言っている。

幸いと言って良いか、私達姉妹とポリーン姉様に付いているメイドは、バトルメイドなので魔法無しなら私達より強いです。




「お嬢様方!救援信号は出しました!」

ポリーン姉様のメイドが、救援信号を出してくれました。




とにかく、救援が来るまで何とか持ち堪えないといけません!

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