第5話 初めての事件 2

【黒いイロガラス】は、その後も貴族や裕福な商人の屋敷に入り込んでは、貴金属を盗み続けています。




鍵の掛かった宝石箱からも、盗んで行くのですから、コレはもう誰かがテイムしているのは、間違いありません。




皆さまそう思って、【黒いイロガラス】を追いかけましたけど、相手は魔鳥。




とても追いかけるのは、無理みたいです。




【黒いイロガラス】に、大事なペンダントを盗まれて以来、母様は寝込んでしまいました。




父様と母様の大事な思い出を、盗むなんて許せません!

でも、衛兵隊や騎士団が追いかけても、誰も捕まえられない魔鳥を、どうすれば捕まえられるのでしょうか?




そこで、私は今年から学園に入学した姉に、手紙で相談してみました。

悪知恵の働く姉の事です。

きっと何か良い案を思い付くはず。




そう思って手紙をアークに頼んだら、帰りに姉の返事を持って帰って来ました。




早くないですか?




姉の返信には、

『お友達に試作品で貰った銀メッキ※1のスプーンを2つ入れておきます。

コレを囮りにシルバーとアークに、追いかけさせなさい。』

と、書いてありました。




なるほど、ケットシーの血を引くシルバーと元スパイ泥棒のアークなら追いかけられるかもしれません。

早速、やってみましょう。




最近はどこの家も、【黒いイロガラス】を警戒して、(アレがカラスじゃないのを、知っているのは我が家だけみたいです。)貴金属は、屋敷の奥に仕舞っているみたいですから、引っかかるかも知れませんね。




チャンスは、2回……

必ず母様のペンダントを、取り返してみせます!




翌日、私は囮りのスプーンとティーカップを自室のテーブルの上に置いたまま、椅子で寝た振りをして、カラスモドキ(黒いイロガラス面倒)を待ち伏せしました。




すると、案の定カラスモドキはスプーンを咥え、外へ出て行きました。




それを見て私は、わざと声をあげてシルバー達に合図を送ります。




「きゃあ!たいへん。

カラスが私の銀の匙を盗んで行ったわ~。(棒)」





後は、頼みますよ!



******************


※1

誰かさんが作った銀メッキ。

実は凄い技術でした。

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