第4話 初めての事件 1
前書き
王都を揺るがす大事件発生!
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「きゃー‼︎大変、またあのカラスよ!」
調理メイドのサニーの叫び声と、バタバタと走り廻る足音でビックリして部屋から中庭を見ると、お茶会用に並べられていた食器を皆んな必死に守っていたの。
「早く銀食器を部屋に入れて窓やドアを閉めろ!」
メイドや調理人達が慌てて窓やドアを閉めていく音がしているわ。
心配になってシルバーと下に行くと、皆んな、急いで銀食器の数を確かめているところでした。
料理長が凄く悔しそうに
「クソッ!ティースプーンが1つ足りねー!」
と、言うと今度はサニーが真っ青になって
「えーっ!?先月、買い直したばかりじゃないですか!
今回で何か盗まれるの3回目ですよ!」
皆んな、ガッカリしています。
「誰よ!『外で食器磨きをやろう。』って言ったの!?」
そうサニーが言うと、皆んなは一斉にサニーの方を睨みました。
どうやら『外でやる。』と、言い出したのはサニーのようですね。
青い顔が更に青くなっていますよ。
どうやら我が家の銀食器を盗む、悪いカラスがいるみたいです。
隣に居た私付きのメイドのミリアに話を聞くと、数ヶ月前からあのカラスが貴族街に居着き、他のお屋敷からもいろいろ盗んでいるのですって。
『カラスは、光物が好きでよく集めている。』
と、いうのは聞いた事がありますけど……
流石に盗み過ぎじゃないかしら?
そう思っていた矢先に、今度はたいへんな物が盗まれてしまいました。
母様の大事な、ペンダントです。
それは父様が母様に婚約記念に渡した、とても大切な物だったのです。
母様が真っ青になって、泣きながら話した事よると、確かに窓は少し開いていたけど、ペンダントはきちんと『宝石箱』に入れてあったのだそうです。
窓を閉め忘れた事に気が付いて、戻って来たらカラスが宝石箱の蓋を開けて、物色していたのだとか。
母様の叫び声に、カラスは慌てて大事なペンダントを咥えて、飛んで行ったそうなのです。
俄かには考え難い状況ですけど……
尚、犯行現場には
その黒い羽根を見て、最近私付きの執事になったアークが、
「これ、カラスの羽根じゃありませんよ。
イロガラスの羽根ですね。」
と、怪訝な顔をして言いました。
アークの説明によると……
【イロガラス】、それは七色の羽根をしたもの凄く派手な魔鳥で、姿形はカラスに似ているけど、光物が好きな訳ではなく、寧ろカラスより大人しいそうです。
もうカラスの方が魔鳥じゃないかと、いうくらいの……
それなのに何故、魔鳥なのかというと派手過ぎて他の動物や魔物に狙われ安いので逃げる時に風魔法を使うからなのですって。
『何時も集団で行動しているから1羽だけテイムしても目立ち過ぎて偵察にも使えない。』
と、テイマーには不人気な魔鳥なのだとか。
イロガラスはもっと南の方に住んでいるのに、それが1羽だけ…しかも通常いないはずの【黒いイロガラス】が野生の状態でいるのは、考えられないのだそうです。
ビックリです!
世の中にそんな魔鳥がいたのもですが、あのアークが、こんなに頭が良かったなんて!
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