市議会議員選挙[2023.04.24 選挙結果を踏まえた追記]
統一地方選挙第二弾。市議選。
衆参議院や都道府県議選では組織票が強すぎて個人の一票は何の力も持たないが、市議選では立候補者が多いために組織票も割れざるを得ない。100票以内の差で当落が決まることもよくあるので、真面目に投票先を決める必要がある。
私が住む市の投票率を調べると、戦後しばらくは80%台をキープしており、昭和までは60%台だったが、平成になってからみるみる投票率が落ちていき、今では40%台となっている。
しかし、投票者数を見ると、ほとんど変わっていない。
市の人口が増え、有権者の数は増えたが、投票者数はずっと同じなので、相対的に投票率が下がった、ということ。
あと、常に男性より女性の方が投票者数が若干多い。これは、仕事を理由に投票に行かない男性が多いからだろう。
このデータは興味深い。人口が増えても投票者数が変わらないのは面白い現象である。
要するに、投票する人は投票するし、投票しない人は投票しない、ということだが、単にそれだけではなく、投票者が移住したり亡くなったりして減った分だけ新たに投票者が補充されている、ということでもある。
これは働きアリの法則に似ている。アリは働いているやつと何もしていないやつがいるらしいが、働いているやつが減ると、減った分だけ今まで働いていなかったアリが働くようになるらしい。投票数にもそういう法則が働くのだろうか。
そして、歴代の得票数を見ると、組織票がいかに強いかもわかる。やはり党推薦の常連や、地元の有力者は盤石。
ただ、落選者とトップ当選の差は1000票くらいしかなく、投票に行かなかったスットコドッコイの内、たった100人が落選者に投票すれば当選させることができ、1000人いればトップ当選させることもできたわけである。
国政や都道府県政では自分の一票の力は実感できないが、市議選は結構、個人票は強い。その力を行使しないのはもったいないと思わないのかね。
一方で、一票が馬鹿にならない力を持つだけに、こちらも適当に票を投じるわけにはいかない。市議選は立候補者が多いが、ちゃんと全員調べる必要がある。
まずは選挙公報を見て、推薦している党ごとに分ける。
日本共産党推薦の候補者は、党で一致団結して、たいがいみんな同じ公約を掲げているから、それ以上調べる必要はない。
自民党推薦の候補者は、少し注意を要する。中央の選挙で私が自民党候補に入れることはないが、市議選の場合は少し事情が違って、市のためになる仕事をしてさえいれば、どこ推薦でも構わない。
とはいえ、どうせ組織票で勝つから、私が入れなくてもいいっちゃいいのだが。
問題は無所属。まず、本当に無所属なのかを調べる必要がある。無所属と言いつつこっそりどこかの党と繋がっていたり、地元に強力なコネを持っていたりすることはまあまあある。
市に長く住んでいれば、名字だけで「ああ、あいつの子供か」とわかることもある。
本当に何の繋がりもない、マジモンの無所属は、実績があるのかどうか、ないならちゃんと具体的かつ現実的な公約を掲げているかなどを調べる。
やる気があって現実的な仕事をしようとしているようなら、投票先の候補となる……が、だいたいこういう無所属候補は、ふわっとしたことしか主張しておらず、やる気が感じられないことが多い。あと、経歴が怪しいことも多い。市議に立候補する時点でみんな怪しいが。
一方で、全然情報が出てこない無所属新人もいる。誰かわからん、何をするつもりなのかもわからんのでは投票のしようがない。とりあえず政治活動サイトとかtwitterでもやっていてくれれば、そこから多少なりとも情報が得られるのだが。やる気あるのかね。
ざっと確認すると、各党推薦の新人立候補者は、だいたい1年前からtwitterを開設して仕込んでおり、どういう活動をしているか報告している。やっぱりこの辺はちゃんとしている。無所属新人が本気で勝ちたいなら、せめてこれくらいはやらねばならない。
今回特徴的だったのは、かつては立憲民主党推薦だった候補者がみんな無所属になっていること。立民推薦を謳う候補は一人もいない。これはどう考えるべきなのか。ステルス立民なのか、それとも立民と縁を切ったのか。ちょっとわからん。
あと、日本維新の会推薦がすんごく増えている。今まではほとんどいなかったはず。
今回、おそらく維新はかなり市政に食い込んでくると思われる。地元のムカつく有力者を避けつつ、やる気のありそうな候補に入れようとすると、維新推薦の候補者になりがち。なかなかうまい戦略といえる。大きく市議の顔ぶれが変わるかもしれない。
維新の存在のおかげで、今回の無所属新人はかなり厳しいだろうと予想される。単に維新が推薦しているからという以上に、選挙戦略そのものに差がありすぎる。維新候補がなにがしか積極的に活動し、それをSNSで報告しているのに対し、無所属新人ははっきり言って何もしてないから、票の集まりようがない。
結局のところ、顔ぶれを見ただけで、だいたい誰が落ちるかはわかってしまう。とはいえ、いつも当落ラインは危うい勝負になるから、なかなかスリリング。
中央選と地方選を一緒くたに思っている人は多いだろうが、地元の議会選挙は一票の力を実感しやすいから、参加しないともったいないと思う。
[2023.04.24 追記]
選挙結果が公表された。ほぼ予想通りの結果だったが、少し意外だったのは、現職自民党候補が一人落ちたことか。
日本共産党候補が全員当選していたのも意外だったが、これは、関西の府県議選で日本共産党候補の多くが維新候補に敗れたことから、本気で組織票集めに乗り出したためだろうと思う。
投票率は40%程度で、当落ラインは50票差ほどだった。
ちょっと面白かったのは、同じ名字の人が何人か立候補していたのだが、その人達にだけ小数点以下の票数が付いていたこと。名字だけ書いて投票したうっかりさんがいたらしい。
小数点以下の票が付くこと自体は珍しくない。今回のように名字だけ書いて、同じ名字の誰に入れたかわからないとか、名前を書かなきゃならないのに党名を書いたりした場合にそうなる。
組織の後ろ楯を持たない無所属新人は予想通りみんな落ちたが、落ちるに決まっている。誰だかさっぱりわからないのだから。
こうした無所属新人はたいがい、「皆様の声を市政に届けます」とか「選挙カーは控えさせていただきます」とか書いている。つまり、具体的にやりたいことがあるわけではなく、やりたいことがないから演説もできない、ということ。「アットホームな職場です」と同じくらい中身がない。
後ろ楯のない無所属新人こそ、選挙カーをガンガン走らせて宣伝しなければならない。少なくともフレッシュでクリーンな候補ということだけでもアピールしておけば、投票先に困っていた人が入れてくれるかもしれない。
さらに、気の利いた演説でもできれば勝てる見込みも出てくる。
日本の政治家はみんな演説が下手だから、そこそこ演説がうまいだけで勝てる可能性は十分にある。
なにしろ60%も票が眠っているのだから。そこから3%票を掘り返せば当選する。
今回は投票率が特に低かったが、それはつまり、前回までは投票に来ていた人が来なかった、ということ。その理由の大半は、投票したい人がいないとか、どうせ行ったって何も変わらないと思っているからだろう。そういう人たちにフレッシュでクリーンでやる気のある無所属新人がいることを宣伝すれば、3%くらいは集められるかもしれない。後ろ楯のない無所属新人が市議の席を奪うのは、そう無謀でもないわけである。やる気と才能と選挙戦略さえあれば。
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