雑記ノート

鶏卵の値上がり[2023.03.03 追記]

　鳥インフルエンザの影響で卵の値段が上がっている、というニュースを観たとき、私はあまりその影響を実感していなかった。私がいつも買っている卵の値段は上がっていないからである。

　私が買っている卵は10個で税込235円。何年も前からずっとこの値段。以前は頻繁にセールをしていたのでもう少し安く手に入ったが、いつしかセールをしなくなり、年中この値段で販売するようになった。

　私は基本的にこの卵しか買わないので、この卵の値段しか見ていない。そして、この卵は今のところ値段が変わっていない。それで「本当に卵が高騰してるのかよ」と疑っていた。

　しかし、別の銘柄の卵の値段を見てびっくりした。以前は10個200円と、私の買っている卵より安くて、みんなそっちばかり買っていたやつが、270円になっていたのである。他の卵も軒並み値上げ。

　以前は、私の買っていた卵は、周囲の卵と比べるとちょっと高かった。しかし、知らない間に最安値の卵になっていたのである。

　しかしこうなると、なんで私の買っている卵だけ値上がりしていないのか、不思議である。感染せずに殺処分を免れたとか、そういうことなのか？　それくらいしか理由はないと思うが。

　なぜ私がその卵だけ買っているかというと、値段と大きさと味のバランスがいいから。

　私は一時期、卵に凝っていた頃があった。きっかけは、欧米で鶏のケージ飼いが動物愛護に反するという運動が起きているとかいうニュースを観たことだった。その影響で、マクドナルドがケージ飼いの卵を使わなくなったとアナウンスしていた記憶がある。

　ケージ飼いが鶏にとって不幸で、平飼いが幸福なのだとすれば、その差は卵の味にも反映されるかもしれない。やはり、劣悪な環境で産んだ卵より、幸福な環境で産んだ卵の方がうまいだろう。

　そう思い、私はいくつか平飼い卵を買ってみた。その結果は意外なものだった。平飼いの方がまずかったのである。なんかすんごく薄味だし、変な感じがする。

　考えてみると、もともと鶏は人間に食わせるために卵を産んでいるわけではない。自然に近い飼い方をされて産んだ卵は、より野生に近い卵になり、人間が食う時の都合を考えていない卵になるのかもしれない。

　私は鶏の幸せについて無関心でいたいわけではないが、そのためにわざわざ高くて私の味覚に合わない卵を買う気にはなれない。それなら卵を買わないほうがマシである。

　余談だが、平飼いが無条件で鶏にとっていい環境とは言えないので、その点は注意を要する。「平飼い」と言えば卵を高く売れることに付け込んで、ケージよりも劣悪な平飼い環境で鶏を飼育している悪徳業者もある。本気で鶏の幸せを考えた上で卵を買いたいなら、ちゃんとどういう飼われ方をしているか、現地を視察してから買うべきである。もしくは自分で鶏を飼って卵を産ませて食うか。

　高い卵が必ずしもうまいとは限らないことを悟った私は、では、どの卵が一番、値段と味のバランスがいいのだろうと思った。それで、近所で売っている卵をひととおり試してみた。それで行き着いた結論が、今買っている卵だったわけである。

　もっとも、実は近頃、私は卵をあまり買っていなかった。最近は喫茶店やファミレスでモーニングを頼むことが多く、モーニングにはたいがい卵料理がついてくる。朝に目玉焼きとかゆで卵を食べて、じゃあ夜はオムライスにするかとはなかなかならないもので、たぶん、ここ3ヶ月で買った卵は2パックだけだったと思う。

　で、その卵料理が付いたモーニングも、今のところ値上がりしていない。普段買っている卵も、普段外食で食べている卵料理も値上がりしていないとなると、事実上、私は鳥インフルエンザの影響を全く受けていないも同然である。実感できないのも当然と言える。

　そんな私が、その影響を感じたのはつい最近のこと。ガストのモーニングに行って、パンケーキを頼もうとしたら「鳥インフルエンザの影響で販売中止」となっていたことからだった。

　目玉焼きやスクランブルエッグの付いたモーニングはそのままの値段で販売しているのに、なぜにパンケーキだけ販売中止なんだ？　パンケーキってそんなに卵使うのか？

　他のガストの販売中止メニューを見ると、まぐろユッケ、ほうれん草と温泉卵のビーフシチュー、ガパオライスプレートなど。一方、オムライスやデミたまハンバーグはそのまま残っている。

　そこから考えると、人気のメニューはそのまま残して、マイナーなメニューを中止しているようである。この法則からすると、パンケーキが必ずしも卵を大量に使っているとは限らない。単に人気がないから削られただけのよう。そういえば、モーニングでパンケーキを頼んでいる人をいままで見たことがない。頼んでいるのは私だけである。

　ところで、卵が値上がりする一方で、鶏肉の値段は上がっていないのはなぜなのだろう。今週、から好しでは手羽先99円(税抜)セールをやっていて、私はお昼に手羽先9本だけ頼んでひたすらむしゃぶりつき、「鶏肋、鶏肋」と呟いて曹操ごっこをしたりしたものだが(手羽先だから肋骨じゃないが)、鳥インフルで鶏を殺処分して卵が値上がりしているなら、当然鶏肉も値上がりしているはずである。セールなんてやっている場合だったのだろうかと、今さら気になった。

　調べてみると、やはり全国的には鶏肉の値段は上がっているらしい。ただ、私の近所では今のところ影響は見られない。これも、店の仕入れ先が殺処分したかどうかによるものだろうと思う。

　どうでもいいが、私はから好しで手羽先99円セールをすると知って、1週間も前から何をどう頼むか計画を練っていた。まずは定食を食って手羽先への渇望を高め、デザートとして手羽先を頼むか、手羽先をメインにして単品のごはんとキャベツを付けるか、とか。タレ何本、スパイス何本にするかとか。

　熟考の末、タレ3本、スパイス6本のみで、ごはんもキャベツも付けないエクストリーム手羽先コースで行くことにした。

　いざ、セール当日にから好しに行くと、いつもよりかなり混んでいたので「おうおう、鶏に飢えた餓鬼どもが群がっておるわ！　みんな99円の手羽先に惹かれて来よったな！　負けられん！」と気合いを入れて入店した。

　しかし、店内を見渡しても、手羽先を頼んでいる客は一人もいなかった。……本当に一人もいなかった。入店時にざっと見渡して、誰も手羽先を頼んでいないことを確認した私は、まさかそんなわけがないだろうと思った。それで、セルフサービスの水を取りに行くついでに店内の全席をチェックした。本当に誰も頼んでいなかった。

　いや、君たち。いま、手羽先セール中なんですけど。店中にチラシがベタベタ貼ってあるでしょ？　見えないの？　なんでハニーマスタードももから食ってるの？

　考えてみると、手羽先はよっぽど鶏好きでないと食べないものなのかもしれない。手掴みで食わないといけないから手が汚れるし、骨をしゃぶしゃぶしないといけない。それよりは、骨無しのももからの方がお手軽である。

　しかし、から好しって鶏好きの亡者どもが集う場じゃなかったの？　骨をしゃぶしゃぶするのが面倒くさいような人しか来ないところだったの？　鶏専門店で手羽先セールをやっていて、誰も手羽先を頼んでいないのは結構衝撃的な光景であった。

[2023.03.03 追記]

　ついに、私が買っていた卵も値上がりした。税込290円に。55円値上げ。

　値段を見た時は「うおー高え！」と思ったが、よく考えたら1個あたり5.5円の値上がりで、言うほど高いか？　と思わんでもない。

　外食でゆで玉子を付けると100円くらいすることを考えたら、1個23.5円から29円になったところで大した違いはない気もする。外では平気で卵に100円出してるんじゃんかさ。

　平飼い卵はピンキリあるが、だいたい6個400円くらい。単価67円で、値上がりしたケージ飼い卵の倍以上する。それでも外食で玉子を付けるよりは圧倒的に安いわけである。