アイリスオーヤマ PDH-1200TD1(セラミックファンヒーター)

 AmazonのブラックフライデーセールでセラミックファンヒーターPDH-1200TD1を購入した。



 以前にも書いた気がするが、私は暖房器具ではセラミックファンヒーターが一番好き。暖めたいところをピンポイントで素早く暖めてくれ、加湿も除湿もしない。エアコンは空気が乾燥するし、部屋全体を暖めようとするのでなかなか暖かくならず、効率も悪い。ガスファンヒーターは素早く部屋全体を暖めてくれるが、燃焼で水が発生するので部屋がべちゃべちゃになる。結露地獄。


 セラミックファンヒーターの弱点は暖める範囲が狭いことだったが、2018年にアイリスオーヤマが発売した大風量セラミックファンヒーターは、その弱点を補う革命的な製品だった。

 私はホームセンターの店頭で大風量セラミックファンヒーター(JCH-122T)を見かけて、即購入した。私は常々、セラミックファンヒーターは風量が弱すぎると思っていた。風量がもっと強ければメインの暖房器具として使えるのにと。

 そのニーズにぴったりだったのが、JCH-122Tだったのである。



 で、そのJCH-122Tがすでにあるのに、なぜ今回もう1台買ったかというと、2月くらいのめちゃくちゃ寒い時期に2台態勢で使いたいから。


 何度も書くが、セラミックファンヒーターの弱点は、暖める範囲が狭いこと。大風量でその弱点は大幅に改善されたものの、寒さが厳しくなってくると、さすがに1台では力不足になってくる。1台で体を暖め、もう1台で足下を暖めたい。


 たいがいのセラミックファンヒーターには、強運転と弱運転がある。JCH-122Tだと、強運転は1200W、弱運転は600W。

 しかし、強運転は効果が薄い。吹き出てくる風は熱くなるが、暖める範囲は変わらないので、効果が実感できない。それよりは弱運転で2台使用し、暖める箇所を増やした方がいい。消費電力は同じである。



 今回購入したPDH-1200TD1(2021年製)は、JCH-122T(2018年製)の後継モデル。見た目は全く同じ。JCH-122Tはスイッチがダイヤル式で、PDH-1200TD1はマイコン式なのだが、それは大きな違いではない。私はダイヤル式のほうが好きなので、2018年型を買うときはあえてダイヤル式を選んだのだが、2021年型にはダイヤル式がなかったので、仕方なくマイコン式を選んだ。


 日本の家電は毎年のようにマイナーチェンジするが、ほとんど違いがない、ということが多い。なので、新型には何も期待していなかった。旧型と同等の仕事をしてくれればそれでいいと。

 しかし、使ってみると、2021年型は驚くほど進歩していた。


 まず、稼働音がかなり小さくなった。2018年型は稼働すると結構うるさかった。私は気にしていなかったが。うるさくてもいいから風量がほしいと思っていたから満足していた。

 しかし、2021年型はだいぶ音が抑えられている。最初使ったときは、「あれ? 弱風運転モードがあるのかな?」と思ったくらいだった(セラミックファンヒーターは風量の調整はできない)。


 音は小さくなったのに、熱量はアップしている。同じ600Wなのに、2018年型よりも吹き出してくる風が熱め。


 この性能アップは結構影響が大きい。2018年型を持っている人が、あえて2021年型に買い替える価値があるくらい。弱運転で2018年型の強運転に近い満足感が得られる。

 そうすると2018年型が余ってしまうが、それは私のように、強運転する代わりに2台稼働させるためのサブとしてあってもいいと思う。



 しかし、見た目も変わっていないし、カタログスペック的にも特別変わったように見えない製品が、こんなに進歩していたのはびっくりした。

 たぶん、18年型と21年型を両方持っているユーザーは少ないはずなので、この違いに気づいている人はそういないだろう。そもそも18年型と21年型があるということ自体を知らない人も多いかもしれない。私も買うまで気づかなかった。



 大事な話は終わったが、これだけだとなんなので、ここからは余談。


 私がセラミックファンヒーターが好きなのは、もしかすると子供の頃の影響かもしれない。

 かつて私は祖父の家で二世帯で暮らしていたが、祖父は居間でずっとタバコを吸い続けるので、居間はタバコの煙が充満しており、私はそこにいられなかった。私は子供の頃に小児喘息を患っていたし、それが治った(?)後も、空気の汚れた環境には居たくなかった。


 それで、誰もいない離れで過ごしていたのだが、その部屋はろくな暖房設備がなく、私はセラミックファンヒーターにかじりついていた。

 その時私は、その暖房器具が何かは知らなかった。とにかくその部屋に暖房器具はそれしかなく、それが私のお友達だったわけである。


 その後、引っ越しした家ではガスファンヒーターを使用していた。ガスファンヒーターはセラミックファンヒーターとよく似た暖房器具で、ファンで熱風を吹き出す仕組み。

 暖房器具としては文句のない性能だが、湿度をめちゃくちゃ上げてしまい、結露が発生する。窓の周辺は結露で木が腐ったり、カビたりして大変だったが、両親はそれがガスファンヒーターのせいだとは気づかなかったようである。私も気づかなかった。冬は結露が発生するもんだと思っていた。



 大学を卒業する頃になると、さすがにガスファンヒーターが水分を発生させ、結露の原因になることに気づいた。なのでエアコンを使おうとしたのだが、エアコンはなかなか暖まらないし、乾燥しすぎて喉が痛くなる。


 それで私は、子供の頃に使っていた、あの暖房器具はどうだろうと思った。

 ただ、あれが何なのかは知らなかった。家電屋で探してみたが、それらしきものは見つからなかった。セラミックファンヒーターは売っていたが、それがあのときの暖房器具とは結びつかなかったのである。なんとなく、セラミックファンヒーターは最近登場した新しい暖房器具だと思いこんでいた。


 しかし、ネットでいろいろ調べてみると、どうやら私が探しているのはセラミックファンヒーターらしいということに気づいた。ネットで暖房器具の種類を調べ、消去法で考えると、それしか該当するものがないのである。


 それで、試しにひとつセラミックファンヒーターを買ってみることにした。

 何十年ぶりかで再開した思い出の暖房器具は、しかし、最初は実感が沸かなかった。「子供の頃に使っていたアレの方が風量が大きくなかったか?」と思った。そのとき買ったやつは風量が弱く、思ったよりあんまり暖まらないのである。これは、昔の私は子供だったから、相対的に風量が大きいように感じただけだったのかもしれない。

 ともかく、セラミックファンヒーターは思っていたよりも風量が小さく、思い出の中にあるそれよりも頼りなかった。

 もっと風量の大きいセラミックファンヒーターはないのかね、と思って探してみたが、どうしても見つからなかった。どうやらそんなものはないらしい。理由はわからないが、セラミックファンヒーターの風量はあれ以上増やせないようである。


 そんな折に登場したのが、アイリスオーヤマの大風量セラミックファンヒーターだった。私が即買いしたのは当然だろう。



 最強な暖房器具ならこたつがあるだろ、と思う人もあるかもしれない。たしかにこたつは最強である。電気代も安い。しかし、私はあまり好きでない。こたつを使うとこたつから出られなくなる。

 私が暖房器具に求めるのは、寒くても活動できるようにすること。動かなくていいなら毛布にくるまっていればいい。それなら電気代もかからない。

 動けるようにするために暖房器具がほしいのであって、出られなくなるこたつはよろしくない。


 あと、私はこたつにはあまりいい思い出がない。こたつの中に潜り込んでいたら出口を4つとも塞がれて閉じ込められたことがあり、それ以来、こたつは危険なものだと思っている。潜り込まなきゃいいだけなのだが。

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