麻婆豆腐の後にご飯を炒める
中華料理は、作るのは簡単だが忙しい。なぜか品数が増えがちで、一度に複数の料理を作ることになる。
ある日私は、麻婆豆腐と冷凍の餃子、たまごスープにごはんという献立で料理を作っていた。どれも単品として作るなら簡単なものばかりだが、コンロを3つ同時に使い、それぞれの火加減を見なければならないのでかなり忙しい。
特に問題なのが麻婆豆腐で、片栗粉を溶いて入れてからは付きっきりになるから、その時には他の料理は完成していることが望ましい。何かと同時進行していると、片栗粉が固まったりしてうまくとろみがつかないことがある。
何度か同じ献立で作っているので、そろそろタイミングもわかってきて、問題なく料理は完成する……はずだったのだが、最後の最後で余計なトラブルが起きた。レンジで解凍したごはんが冷たかったのである。
このごはんは、最近虫に食われたせいで一気に5kg炊いて冷凍したやつ。
私は普段、ご飯専用の容器でごはんを冷凍している。底がザルみたいになっていて、自動的に蒸してくれるやつである。これを使うとレンジ解凍で失敗することはない。
しかし今回は容器が足りなかったので、ほとんどのごはんは専用の容器に入れていなかった。この場合、しばしば電子レンジはうまく解凍してくれない。凍ったままの部分が残ったりする。
せっかく仕上がり時間を調整して、全ての料理がほぼ同時に完成するようにやっているのに、最後の最後にレンジの反乱によって計画が台無しになり、私は腹が立った。餃子をアツアツで食えるようにするのに、こっちがどれだけ苦労してるかわかってるのか!
そもそも、こうなってしまうと、このごはんをレンジで再加熱したからといって、ちゃんと解凍できるとは限らない。何度やっても凍ったままだったり、やり過ぎで固くなってしまったりすることもある。そうしている内に料理は冷める。冷めた料理でいいんだったら、こんなに苦労して同時に3つの料理を調理していない。
そのとき、私に天啓が下った。麻婆豆腐を作った時に使った炒め用フライパンで、ごはんを炒めたらいいんじゃないかと。
私はフライパンに調理不良のごはんをフライパンに投入して、さっと炒めた。
すると、ごはんはちゃんと加熱された。それだけではなく、フライパンがきれいになった。
麻婆豆腐を作った後のフライパンは油やソースが付いていて、洗うのは苦労する。しかし、そのフライパンでごはんを炒めると、ごはんがソースや油を吸って、きれいになるのである。
当たり前といえば当たり前の現象だが、これは盲点だった。ソース系の料理をした後は、そのフライパンでごはんを軽く炒めたら、フライパンの掃除になるのである。
私は早速、この発見を応用すべく、カレーを作ることにした。
カレーはこの発見と非常に相性がいい。カレーは後片付けが大変な料理の筆頭であり、炒めたごはんと相性がいい料理でもある。
私はカレーを鍋ではなく、炒め用のフライパンで作るが、そのフライパンにごはんを投入し、ガーリックライスでも作れば、フライパンはきれいになるし、ガーリックライスにカレーの香りを吸わせることができるし、いいことづくめである。
この手はいろいろ使える。ステーキを焼いた後のフライパンでソースを作ることはあるが、その後にさらにごはんを炒めれば、フライパンの掃除を兼ねて一品作れてしまうのである。貧乏くさい気もするが、家でやる分には貧乏くさくても問題ない。
これは、いわば雑炊みたいなもんだろう。雑炊だって、鍋に残った出汁がもったいないからやる。
今や私は、朝にベーコンエッグを焼いた後にごはんを炒めたりしている。そして、炒めたごはんの上にベーコンエッグを乗せるのである。ベーコンエッグの後の憂鬱なフライパン掃除の負担が大幅に軽減され、かつ、朝食がなんとなく豪華そうになる。
こんな便利なテクニックを、なぜ今まで気づかなかったんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます