応援コメント

アガサ・クリスティ『ひらいたトランプ』『そして誰もいなくなった』『カーテン』」への応援コメント

  • こんにちは。私は中学生時代から推理小説の大ファンだったので、クリスティー特集記事本当に嬉しいです。

    『ひらいたトランプ』は初期に読んだ作品だったので、私には難しく、ブリッジのルールも理解できなかったため、あんまり、取っ付けなかった印象があります。ポアロが依頼者を救えなかったとき、その遺体の前で、「子どもっぽいことばかりをして、本当にバカな人だ」と悔やんでいた場面が印象的でした。映画でドラマチックにやられたら、泣きそうです。笑 今回、ブリッジの詳細なルールを書いていただきましたので、これを読んでもう一度チャレンジしてみます。

     『カーテン』は犯人があまり表に出てこず、たしかにあれは完全犯罪でしたが、全体の動きが、少しもったりした印象があります。ただ、ヘイスティングス氏が犯罪を犯しそうになったり、ポアロが最後に死んでしまったりと、いろいろ衝撃的な作品ですよね。あと、お言葉ですが、『エッジウェア卿』は私には逸品です。ポアロが最後の方まで勘違いしてしまうところ、トリックが大胆なところ、それと、主役がとても魅力的ではないですか。私にとっては、あのくらいスピーディーに殺人を繰り返せる人の方が、架空の作品の犯人には向いていると思います。現実ではまずいですね。ただ、この間の『ナイル殺人事件』の映画化大失敗もありますから、現代劇にしてしまうと微妙なのかもしれません。あの監督は『ナイルに死す』の本当の良さが何も分かっていませんね。あと二時間弱ほどで、あのストーリーを表現するのは難しかったのかもしれません。反論してしまってごめんなさい。『愛国殺人』や『そして誰も』など大好きなストーリーを取り上げて貰えて嬉しかったです。第二弾を期待します。ではまたー

    作者からの返信

    『エッジウェア卿の死』があまり好きでないのは、ポワロがあまりにボンクラだからです。この作品だけ妙に冴えてない。

     ポワロはエッジウェア夫人の物真似ができる人がいることを知っていて、かつ、その人が夫人を装ってエッジウェア卿を殺したのではないかと序盤に疑っているわけですが、だったら当然の理屈として、逆だって疑うべきなんです。物真似の人が夫人に扮してアリバイを作り、本人がエッジウェア卿を殺したと。しかし、その点についていつまで経っても疑わないので読んでいてイライラするのです。
     このときのポワロは『ゴルフ場殺人事件』のジロー刑事並に酷い。些細な問題に気を取られて、重要な事柄に気づかないという。

     この作品のパターンは『スタイルズ荘の怪事件』と同じですが、『スタイルズ荘』ではちゃんとポワロは最初から真犯人を見抜いていて、ただ、確実に仕留めるために疑っていないフリをします。しかし『エッジウェア卿の死』では本気で犯人が誰かわかっていないという。そこに違和感があるんですよね。
     探偵がポワロでなければ問題なかったのですが。たとえば『複数の時計』のように、探偵は別の人で、ポワロは出張らずヒントを言うだけの立場であったなら、違和感はなかったと思います。

     犯人の個性は確かに特徴的ですが、私は『五匹の子豚』の犯人の印象が強く残っていて、そのせいで霞むところがあります。


    『ひらいたトランプ』は、明らかにクリスティマニア向けの作品だと思います。ブリッジのルールもそうですが、バトル警視とオリヴァ夫人の出てくる作品を読んでいることでより楽しめる気がする。クリスティ初心者が読んでも良さがわかりにくいというはあるでしょうね。ポワロの活躍を読みたいのに、ポワロがなかなか出てこないじゃないか、となりかねない。


    『カーテン』は確かにもったりした作品ですが、クリスティの作品にはこういうタイプのものも結構多いですね。『ゼロ時間へ』や『五匹の子豚』もそうですし。
    『カーテン』が面白いのは、ヘイスティングスが犯人の殺人がある点だと思います。意図的な殺人は失敗しておきながら、無意識に一人殺してしまっているという。
     ポワロはポワロで真犯人を処刑したわけですが、ヘイスティングスもこっそり相棒として、殺人犯を処刑しているんですよね。無意識にというのが彼らしい間抜けっぷりで面白いところですが。真犯人の犯行の手口や、ポワロの処刑よりも、ヘイスティングスの無意識の犯行トリックこそがこの作品の白眉でしょう。


     映画の『ナイル殺人事件』は観ていないです。同じシリーズの『オリ急』も観ていない。ポワロを実写で観るならBBCのドラマシリーズで充分な気がしています。
     ポワロ自体が現代的なドラマに向いてないんですよね。年を取っており、足も悪いので派手な立ち回りもできず、どうしてもかったるい作品になってしまう。ホームズの現代化には成功した作品が多い一方でポワロがいまいちなのは、そうした理由でしょう。
     この点はクリスティも反省しています。ポワロはもっと若いキャラにすべきだったと。