パソコンの組み立て
私が今まで使っていたパソコンは10年前のもので、i7-3770搭載。ビデオカードをGTX 1060に換装し、HDDをSSDに変えるなどして今まで使ってきたが、最近の重いゲームをプレイする際にパワー不足が露呈してきており、Windows11の必須環境も満たしていない。そろそろ限界だと感じるようになってきた。
本当は去年の2月頃にパソコンを新しく組み立てようと思っていたのだが、その矢先にビデオカードが高騰した。多少の値上げならともかく、いきなり2万円も上がったので、値段が落ち着くまで待つことにした。
その後、ビデオカードの価格はどんどん上昇し、ますます買い替えが遠のいていった。
今年7月になってようやく価格は落ち着いてきたが、実は去年2月の価格に戻っただけだったりする。去年1月に比べると2万円高い。もっとも、この1年半で円安も進んだので、それを考慮すればまあまあ妥当な値段に戻ったとも言える。騙された気分がムンムンするが。
もともとビデオカードの値上げは、半導体の不足やマイニング需要で供給が追いつかないから、とされていた。しかし、あまりにぼったくり価格なことと、そろそろ新型のRTX 4000番台が発売されること、暗号通貨が暴落し、中古市場にビデオカードが大量に流出したことから、今ではビデオカードはだぶついている。それでも昨年1月時点の価格までは下がらないのだから、結局、半導体云々というのは建前に過ぎず、単に値上げしたかっただけのように見える。
いずれにせよ、RTX 3000番台を今の価格で買うなら、そろそろ発売されるであろうRTX 4000番台を待ったほうがマシ。
ただし、それは新品を買う場合の話。中古でもいいなら、3000番台はお手頃な価格になりつつある。
現在の3000番台の中古価格は、値上げ以前の中古価格とほぼ同等まで下がり、性能と価格のバランスが釣り合っている。
もちろんリスクもある。今の中古ビデオカードにはマイニング落ちのものが多数あるはずで、酷使されている可能性がある。
もう1年ほど引っ張って4000番台を待つか、中古を買うか、どうしようか悩みつついろいろ調べていると、ドスパラで3万円台のバルク品中古RTX 3060を見つけた。
調べてみると、この3060はドスパラオリジナルモデルで、新品の時からバルク(箱、付属品なしの本体のみ)だったらしい。
ドスパラで売られていたバルク品が、どういう経緯で中古として売られているかはわからない。が、これは掘り出し物なんじゃないかと私は見た。
そもそも私は、マイニング目的で3060を買った人がそんなにいたとは思えない。3060は高騰した価格でしか売られたことがなく、価格が性能に見合っていない。同じぼったくり価格で買うなら、3060Tiや3070を買ったほうがお得。マイニングでは費用対効果が最重要だから、あえて3060を使った人は多くなかったのではないかと思える。
それに、これはもしかしたら、ドスパラ店舗で見本として使われたものを中古として流しているかもしれない。だとしたらかなり素性のいい中古品ということもあり得る。これを買うのは結局は博打だが、勝算のある博打なんじゃないかという気がする。
いろいろ考えた末に、思い切って私はこれを買ってみることにした。
届いた3060を早速取り付けて動作してみたところ、見た目は使用感は全くなく、新品同様。そして、とりあえずは全く問題なく動作した。新品同様の掘り出し物か、酷使されてボロボロかは、もっと使い続けてみないとわからないが、今のところこれは当たりだったのではないかと思っている。
ただ、GTX 1060から交換した効果はいまいち見られなかった。
本来、RTX 3060のパワーがあれば、『サイバーパンク2077』や"ELDEN RING"は、設定次第で60fps張り付きを実現できる。しかし、『サイバーパンク』は相変わらずフレームが欠けるし、"ELDEN RING"はGTX 1060の時から大して変わっていない。最低設定でも50fpsくらいしか出ない。
これは、CPUのパワー不足によるもの。
GTX 1060とRTX 3060には2倍くらいの性能差がある。その性能を発揮できないのは、CPUがパワー不足でボトルネックになっているため。
もしビデオカードを買い換えるだけで環境が改善するなら、i7-3770でもう少し頑張ってみようかと思っていたが、やはりこの機会にマザーボードから買い換えることにした。
今がCPUやマザーボードの買い換え時かは、考え方による。IntelとAMDは、今年8月から新型を発売しようとしている。それなら新型を買ったほうがいいと考える人も多いだろう。
Intelを選ぶならそれでもいいが、AMDは既存の5000番台を値下げしたため、かなりお得になっている。たとえばRyzen 5 5600Xは、以前なら4万円台だった。性能としては申し分ないものの、4万円はちょっと高すぎだったわけだが、それが今では3万円を切っている。
AMDのマザーボードは7000番台からAM5に移行する。5000番台は最後のAM4規格のCPUとなり、今マザーボードを買うと、もうCPUは換装できないと考えていい。それはデメリットではあるが、言い方を変えれば、AM4は今最も熟成されており、安心して買えるとも言える。新規格は何かと初期トラブルや相性問題に見舞われて大変なことになりがち。
今回購入したのは以下の通り。
CPU:Ryzen 5 5600X
MB:AsRock B550M Pro4
メモリ:PC-3200 8GBx2
CPUクーラー:Cooler Master Hyper H412R
ケース:SAMA JAX-03W
費用総額は、中古RTX 3060込みでだいたい9万円。GTX 1060を9000円で下取りに出したので、差し引きすると8万円くらいになった。
「パソコンを自作した」というと、やったことのない人は「すごい」と思うだろうが、実際には難しいことはなにもない。ガンプラより簡単なくらいである。……ノートラブルなら。
説明書通りに進めれば誰でもできる簡単な作業のはずが、パソコンをいじると、なぜか想定外のトラブルが起きる。
まず、CPUクーラーの取り付けが存外大変だった。普通はこんなもんは、マザーボードにブラケットを取り付けて、CPUにグリスを塗って、CPUファンをネジ留めすれば完成である。何も難しくない。
しかし、今回買ったHyper H412Rは、なんだか知らないがすんごくネジ留めがしにくかった。本当は定評のある虎徹を買おうと思っていたのだが、大きすぎてケースに入らない可能性があったので、90mm級のこれを選んだ。そのこと自体は間違っていなかったと思うが、こんなに取り付けにくいCPUクーラーは初めてである。安いだけのことはあるということなのか。それとも、最近のCPUクーラーはみんなこれくらい取り付けにくいのか。
次に、ケースにまつわるトラブルが続発した。
私は当初、今使っているケースを流用しようと思っていた。ケースは場所を取るから増やしたくない。古いものを流用できるなら、それに越したことはない。
しかし、理論上は問題なく入るはずだったのに、いざ入れてみると、3.5インチベイが邪魔して入らないことがわかった。
それで、古いフルタワーのでっかいケースを引っ張り出してきて、それを使うことにした。フロッピーディスク用のベイがあったりする古いやつだが、フルタワーなんだからMicroATXは余裕で入る。
……はずが、実際入れてみると、PCIスロットのところに謎のでっぱりがあるせいで、ビデオカードが入らないという問題が発覚した。1番スロットと2番スロットの間にリベットみたいなのが飛び出していていて、1番と2番を専有するビデオカードが入らないのである。
かつてビデオカードは2番、3番スロットに入れるのが一般的だった。1番スロットはサウンドカードとか、別のものを挿すために使われていた。このケースはその時代に作られたものだったので、1番と2番の間にリベットをぶっ刺しても問題なかったわけである。
仕方なく、緊急で買い出しに行き、ケースを買ってくる羽目になった。それがJAX-03W。値段の割にはそこそこ見た目のいいケースで、今どきのケースらしく、配線を隠せるようになっている。ATXにも対応しており、スペースは十分。
ただし、値段相応なところもあって、若干製品精度は怪しかった。I/Oパネルを取り付けるとマザーボードの位置がずれて、ネジ留めできなくなってしまうのである。きちんとはまっているはずなのにズレる。パネルなんてなくてもいいから使わないことにした。
あと、下部の電源を入れるスペースの隣に3.5インチベイがあるのだが、これにHDDを装着すると、背面にスペースが足りなくてケーブル類が取り付けられないという、じゃあ何のためのベイなんだよという問題もあった。私の使い方が間違っているのか? しかし、どう考えてもスペースが足りない気がする。実はSSDを取り付けたときのことしか考えずに設計しているのかもしれない。説明書にはHDDの取り付け方が写真付きで載っているのだが。この3.5インチベイは取り外して、HDDは地べたに置くことにした。それで特に問題はない。
ケースのトラブルで、余計な時間がものすごくかかった。何度ケースに電源ユニットだのSSDだのを取り付けては取り外ししたかわからない。
最後に、すべての組み立てが終わって起動してみると、ちゃんと動くには動いたが、何もしていない状態でのCPUの温度が80度を超えていた。いくらなんでも高すぎである。
CPUクーラーの取り付けに失敗したのか? またグリス塗りからやり直し? あの取り付けにくいクーラーをまた付け直すの? などと絶望に包まれつつ確認してみると、冷却ファンが回っていなかった。単にファンをコネクタに接続し忘れていただけだった。ファンが回るようになるときちんと冷却され、ゲームプレイ中でも60度台、高くても70度前半に留まるようになった。
組み上がったパソコンで"ELDEN RING"をプレイしたところ、高画質設定でも1920x1080解像度で60fps張り付きできるようになった。『サイバーパンク』も、欲張り設定にしない限りはフレーム欠けしない。その他の若干カクついていたゲームもヌルヌル動くようになった。
i7-3770は、一昔前のゲームや動画鑑賞くらいなら何も問題なく使えてしまうのでパワー不足に気づきにくいが、最近のゲームで比較すると、さすがに厳しかったことを実感する。一見60fpsが出ていても、3770だと若干チラついていたのである。今の環境で動かすと、同じ60fpsなのかと目を疑うほどなめらかに動く。
パソコンのパーツをいじったりするのは頻繁にやっているが、全部組み立てたのは久しぶりだった。そもそも今まで使っていたi7-3770のやつがパソコン工房のBTOで、これが10年保ったわけだから、最後に組み立てたのは10年以上前ということになる。
以前組み立てたのはCPUがAthlon IIx2 250のやつで、これはまだ現役で動いている。SSDに入れたWindows10が走っている。さすがに遅いし、ネットサーフィンくらいにしか使えないが。
そういえば、私が自作で組んだパソコンは全部AMD製で、Intelパソコンを自分で組んだことはない。吊るしを買うときはIntelで、自作するときはAMDなのである。特にこだわりがあるわけではないが、たぶん、AMDのほうがコストパフォーマンスが高いからだろう。
ただ、Ryzen 5000番台が出た時はAMDとIntelの立場は逆転して、AMDのほうが高性能だが割高になっていた。実際、去年にパソコンを組むことを検討していた時は、i5-12400Fあたりを考えていた。もしビデオカードが高騰しなければ、初めてのIntelパソコンを組んでいたかもしれない。
[2022.08.01 追記]
システムをチェックをしていると、メモリがデュアルチャンネルになっていないことに気づいた。どうやら4枚挿しのマザーボードにメモリを2枚挿してデュアルチャンネルにするには、1番と3番か2番と4番に挿さないとダメらしい。一般的には、まずは2番と4番に挿すことが推奨されている。これはマザーボードのマニュアルにも書かれてある(英語で。一応マニュアルは各国語で書かれた部分もあるのだが、メモリに関しては翻訳されていない)。今まで2枚までしか挿せないマザーボードしか扱ったことがなかったので知らなかった。
というわけで、1番、2番に挿していたのを2番、4番に挿し直したが、なかなかうまく挿せなくて、何度かBIOSが立ち上がらなかった。メモリは意外と接触不良が起きやすい。
最終的にはちゃんと挿せて、デュアルチャンネルになったことを確認できた。
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