マスヤ ピケ8 [2022.04.16 追記]

 近所のスーパーに買い物に行くと、ピケ8が売っていた。しかも大量に。赤、白、青の3種類のパッケージがあったので、バリエーションが増えたのかと思ったら、中身は同じだった。50周年記念パッケージらしい。フランスの国旗カラーなのは「ピケ」がフランス語だから。畝という意味らしい。今は長方形のせんべいだが、昔はうねっていたのだとか。

「8」は「エイト」と読む。ここはなぜか英語。私は「ピケハチ」と呼んでいる。


 ピケ8は、マスヤが販売している塩バター味のせんべい。ハッピーターンと似ているが、ハッピーターンよりも堅めで、よりせんべいらしい。


 ピケ8は売っているのをほとんど見かけない。マスヤ本社のある三重県では普通に売っているが、三重県から出ると途端に入手困難になる。おにぎりせんべいはどこでも見かけるのに、ピケ8を三重県外で見かけるのは本当に稀。

 しかし今回のように、ごく稀に県外のコンビニやスーパーで見かけることはあるから、三重県限定販売というわけでもないらしい。おにぎりせんべいを仕入れるついでにピケ8も仕入れればいいのにと思うのだが。特に、周囲の店が扱っていない今ならバカ売れするだろう。

 実際、そのスーパーでは1日で大量にあった在庫がほぼ捌けていた。私も6袋買った。


 私はピケ8を買いに三重県まで車で遠征したことがある。2時間かけて伊賀のスーパーに行ってピケ8を買い、そのまま2時間かけて帰った。ピケ8を食べたのもそのとき以来。実に数年ぶりのことである。今度食べたくなっても、往復4時間かけないと買いに行けないことを考えれば、6袋という購入数は控えめなくらいである。

 なお、マスヤの公式通販サイトでは20袋単位で売っている。まとめ買いするならこれを利用する手もある。



 なんで三重県で売っているものが、お隣の奈良や京都、滋賀で売っていないのかは謎だが、もしかするとこれは、三重県の微妙な立ち位置に関係しているのかもしれない。


 三重県は何地方に属するのか、曖昧な県だったりする。文化的には関西との繋がりが強いが、経済的な結びつきは名古屋との方が強い。

 スポーツなどで「関西勢」というと三重が含まれていることが多いが、コンビニなどで地方限定商品が出るときは東海地方扱いになる。


 そもそもこの「~地方」という呼び名には明確な定義はない。それぞれ勝手に言っているだけ。ネットでは、「関西地方」に三重は含まないが、「近畿地方」には含む、みたいな説明をしている文章があるが、そんな定義は存在しない。「関西地方」も「近畿地方」も、それが三重を含むかは文脈によって変わる。

 余談だが、関西、近畿には福井県を含む場合もある。京都市や大阪の人にとっては福井なんて「知らない国」も同然だが、丹後地方とはお隣で、実は結構繋がりが深い。そもそも関西電力の原発が福井にあることを忘れてはいけない。


 ともかく、商慣習上、三重県は東海地方扱いで、関西とは別地方という扱いにされることが多い。結果、物理的にはとても近いのに、県をまたいだ瞬間、ピケ8が売っていないということになるわけである。



 で、ピケ8がうまいのかというと、これがなかなか絶妙。

 どこにでもありそうな無難なせんべいで、類似品なんかいくらでもありそうだが、探してみると意外とない。

 味付けは塩バター味で、よくある味だが、バターの香りの主張が強め。食感はハッピーターンよりも少し堅めで、ややせんべい寄り。


 私はブランドにこだわる気は全然なくて、手に入りにくいオリジナルにこだわらなくても、入手しやすい類似品で構わないと思っている。なので、似たようなせんべいをいくつか試してみたことがあるが、この食感のものは見つけられなかった。ハッピーターンの代わりになりそうなせんべいはわりとよくあるが、ピケ8っぽいのは見つからない。そもそもハッピーターンはどこでも売っているから、類似品など必要ない。


 ピケ8にこだわらなくても、ハッピーターンでいいじゃんと思ったこともある。ちょっと食感が違うけど、味に関してはまあまあ似てるから、これで妥協できないかと。

 しかし、ピケ8のうまさは、まさにあの食感にあるのだと私は思う。ハッピーターンは脆すぎる。せんべいらしさが物足りない。ハッピーターン自体に文句があるわけではないが、ピケ8の代わりにハッピーターンを食べるというのはありえない。別物である。


 本当に、なんでピケ8はこんなに取り扱い店舗が少ないのだろう。謎である。無難な味だし、出しゃ売れると思うのだが。私はおにぎりせんべいよりも間口が広いと思う。



[2020.04.16 追記]

 コメントにて、岩塚製菓の味しらべがピケ8に近いという情報をいただいたので確認したところ、確かにかなり近かった。

 味しらべはさとうしょうゆ味で、表面に甘いパウダーがかかっているため、一見ピケ8っぽくない。ただ、素のせんべいとしてはかなり近く、さとうしょうゆという、塩バターとは全く別ジャンルの味付けでありながら、風味は確かにピケ8っぽいのである。もし味しらべに塩バター味ができたら、かなりピケ8になるだろう。


 では、現状で岩塚製菓のせんべいの中にもっとピケ8っぽいのがあるかというと、ない。名前だけで言うとバター餅は近そうだが、こちらはかなり柔らかいせんべいで、食べると最後に餅っぽい粘りを感じる食感になっている。味付けもバターはちみつで、はちみつ味強め。


 それにしても、新潟のせんべいメーカーは強い。店に並んでいるせんべいを適当に手に取ってメーカーを見たら、だいたい新潟である。

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