図書館には数字が多い

 図書館で働いて「もしかして図書館ってわかりにくい?」と思うことがよくあった。図書館を日常的に利用する人なら当たり前のルールが、久しぶりに来た人、初めて利用する人には分からない。図書館司書も張り紙や利用案内を置いて気軽に利用できるよう工夫しているが、それに気付かなければただ「本がとにかくたくさんある施設」としか分からない。

 今回は、多少図書館利用をしやすくなっていただくため、図書館にある数字について紹介。実は図書館、数字がたくさんある。その図書館自体が設定した数字もあれば、出版社が決めた数もある。これを知っているとちょっとだけ調べ物が楽になる、かも?


 図書館の書籍の背表紙(本棚に差し入れたときに見える部分)にシールが貼ってあって、数字やアルファベットが書いてある。多くは3段ラベルと言われる3段に分かれたシールで、そこに書いてあるのは多くは日本十進分類法というものだ。これは本の内容によって決められていて、たとえば

213だと


2○○→歴史

21○→日本史

213→関東地方


というように上の桁から下の桁に掛けて細かい内容を表している。


もっと言うと

213.6→東京都

213.61→区部


 というように小数点を付けて下2桁まで細分化している分類もある。

 全ての本をここまで分類の桁を付けてしまうと図書館の棚に並べるときや目的の本を探すとき大変だ。どこまで3段ラベルに記載するかはその地域の図書館に拠るところだ。

 この他、3段ラベルには一般書と児童書を分ける記号を書いたり、作者の頭文字を入れたりする。図書館を利用するときはこれを「本の住所」くらいに思ってもらうと便利だ。図書館の本はほぼ分類で並んでいる。


 ただ落とし穴がある。

 まず一つは本棚(図書館では書架という)。探しても見つからないという利用者で、たまに分類と本棚の番号を混合している人がいる。本棚の番号は似たような棚が並んでいる図書館内で迷わないための目印だ。だから先にそれが目に付いてしまうのは、必然と言わざるを得ない。違いを出すためにアルファベットやローマ数字になっている図書館もあるんだろうか?

 もう一つは別置きになっている本。例えば図書館で「○○特集!」など一つのテーマで本の展示をしているのを見たことがないだろうか? 図書館司書はそうやって図書館中から本を集めて本の紹介をしている。たぶんパソコンで検索したらどこかにちゃんと別置きの記載はあると思う。ただ検索慣れしていない人は見落とすだろう。そういうときは気にせず図書館司書に聞くと助けてくれるし、特集が組んであるならそこまで案内してくれるだろう。特集が組んであればちょっとラッキーだ。自分で探さなくてもそこに調べ物の本が並んでいるのだから。


 書籍にバーコードが付いていることはご存じだろうか。お手物との本の裏表紙を見てもらうと二つバーコードが並んでいる。これは書籍JANコードと言われる物で書籍出版物に付けられる。そして図書館の本には、もう一つ図書館独自のバーコードが付いている。書籍JANコードは同じ本なら同じバーコードだが、図書館のバーコードは同じ本を複数所蔵していても全部違うものだ。こうやって図書館司書は本の貸出しや管理をしている。

 書籍JANコードに関するISBNという数字もあるが、ここまで説明する力が私には無いので各自ウィキペディア、もとい、図書館で調べていただければと思う。

 とにかく私が言いたいのは、図書館の本は一冊一冊しっかり管理されているということだ。本によっては「改訂版」「新改訂版」「新装版」など変わっていく。それもすべて分けて本を取り扱うのが司書の仕事の一つだ。(改訂部分まで把握するのは・・・・・・まあ、私ならそこまでは無理、かなぁ・・・・・・)


 図書館には雑誌も置いてある。雑誌は本屋さんと同じで書籍とは別の扱いになる。雑誌はISBNがなく、雑誌コードで管理されている。雑誌の裏表紙に書いてある。が、利用者はそこまで見る事は無いし、必要ないと思う。

 雑誌の利用でややこしいのが、号数だ。月刊なら○月号、週刊なら○月○日号、または通算号数。雑誌によってどのタイミングの日付を書いているのか違う。いや、本当に。出版社統一の決まりとかないんでしょうかね。予約を受けるとき「これじゃない」と言われることがある。

 順番に見ていけば大丈夫と思われるかもしれないが、たまに「合併号」と2週間分を1冊にまとめてくださる。そうするとちょっと利用者の認識との齟齬が生まれる。それに気付かないまま予約をしてしまうと新米図書館司書は混乱してしまうのである。

 しかも週刊誌はどんどん出るので、一度予約をミスをすると利用者の予定も狂う。そこでトラブルが生まれる。これから図書館司書になる方は「雑誌は生もの」と覚えておくと良いかもしれない。 


 ちょっと話はずれたが、このように図書館内には数字が多い。また利用方法にも○冊まで貸出し、貸出期間○週間、延長は○週間、予約は○冊まで、予約取り置き期限は○日・・・・・・などなど。

 図書館は数字が多くて一見で分かりにくい。「気をつけよ!」と注意したいのではない。「そういう事もあるんだなぁ」と分かった上で利用していただくと、図書館司書が言ってることもわかりやすいだろうし、調べ物もスムーズになって図書館利用が楽しくなるのではと期待している。

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それなら図書館に行けば良い! 久世 空気 @kuze-kuuki

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