反抗の狼煙

あかぶ

第1話 地下労働施設(1)

「おい!そこのガキ!休んでないでさっさと働け!」


とある星にある地下労働施設。そこでは労働者たちが過酷な環境下での労働を強いられている。


先程怒鳴られていた子供は過酷な環境に加え、満足な食事すらとることができないためかやせ細っている。


そのうえ今は1月の深夜2時だ。極寒の中での労働は健康な成人男性でも大変なことだが、怒られてるのはまだ10歳ぐらいの子供。とても耐えられるものでない。


見たところ起き上がる力すら出ず、怒声にだけ反応するように指先だけ動いている。


これはこの世界において珍しいことではない。


地下労働施設や宇宙空間に存在する小惑星採掘施設など、このような環境下で労働している者たちはごまんといる。


この世界でありふれた景色を背景にリオンは淡々と自分が振られている役割をこなす。


この世界の労働時間は10時間を超えるのが当たり前だが、それは仕事量が多いからだ。


彼らは何か犯罪を犯したというわけではない。むしろ犯罪を犯す余裕がないといったほうが的確だと言える。ではなぜ彼らが労働基準法も真っ青な労働を強いられているかというと


それは彼らの祖先が犯罪を犯したからである。


彼らの祖先は犯罪を犯し、地下労働施設などに収容されることとなった。そこは男女で別れることはなく年齢、性別問わず収容された。


収容された者たちのうち一生をこの施設で過ごさざる負えなかったものたちの子孫が現在労働施設で働いている者たちだ。


そんな人々の一人であるリオンも例外ではない。


だが彼はこの中ではかなりの新人だ。


それは彼の両親が国家転覆を企んだため彼の両親は処刑され、息子であるリオンは地下労働施設に収容されることとなった。


殻が地下労働施設に収容されたのは物心つくまえだっため覚えてはいないだろうが。


彼の一日は午前3時から始まる。


3時に起床しそのまま昼の12時まで労働。


そのあと15分ほどの休憩時間で昼食を済ませ午後11時まで働く。


これを365日ずっと行っている。


リオンは仕事が終わり家に着くと両親の形見である懐中時計を取り出すのが日課だ。


記憶にはない両親だが懐中時計に貼ってある家族写真を見ると心が暖かくなる気がするのだ。


「あぁ、疲れた。早く飯食って寝よ。」


そう呟きリオンは簡単な夕食を済ませ、水を浴びる。


その後すぐに布団に潜り込むと夢の中へ旅立っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

反抗の狼煙 あかぶ @AKABU3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ