ひとひと

芋鳴 柏

最近のひとひと

図に乗りたがる人間がいる。

もとより自らを下位層の人間として忍んできた人間がある日突然に自分の環境のレベルを下げると自分があたかも万能であるように錯覚することがある。

全てが上手くいったような気になるのは構わない。

別に良いと思うのだ、ましてや大学生で花の一年生とまでなれば、少しぐらいは異性に大胆になってみたり、馴れ馴れしく振舞ってみたり、高飛車に過ごしていてもいい。

だがちょっとばかりは気づいてほしい。

自分が傍から見れば大学デビューを直に敢行してしまっている痛々しい人間だとぐらいは察しがついていてほしい。だからこそ、ましてやバイトなんぞでそういった風体を見せてみたりなどはしょうも無いから止めて欲しい。

こっちは大事な時期にいるのだ。

少しぐらいは考えて、立ち止まって恥じらってもいいじゃないか。


人を刺したがる人間がいる。

理屈は考えられない。人に刃物を突き付ける人間に対して、私は理由を問わない。

世の中において刃物を握りしめて人を刺し殺そうとしている人間が、何かしらの動機があるとは思えない。理解の出来ないものには考えないのが自分のスタンスである。

自分は文系だから、致し方ない。

そんな特攻を仕掛けてくる人間からは離れるしかない。

彼らは無敵であって、無敵であるのを良いことに人を刺そうとしてくるだけである。割り切り方も尋常じゃないが、私も人のことを言えないような行動をしているのでやめておこう。

自分が蟻んこの巣を突いて蟻を殺すのには理由がない。

それと同じような事を人相手にただしているだけであるのだから、逃げるが勝ちでそれでいい。戦う方が馬鹿らしいことこの上ない。


勝ちたがる人間がいる。

これは良いと思う。人間誰だって何かに勝ちたいものである。

人より優位に立つということは自分の社会的な立ち位置を作るためには必要な行為であって衝動でもある。これを否定はしない。

だが、負けたからと言って人を刺しに来るのは頂けない。

どうして自ら殴りかかって負けたからと言って怒る奴がいるのだろうか、理解できない。

勝てる人間に勝てばよいのだ。

まして勝敗五分五分にもつれ込むような相手に対して、よほどの自信が無ければ戦っていけないと思う。負け戦で傷つくなら挑まぬ方が正解なのだ。

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