何もしていないと、召された事にされてしまう
だからといって、駆られるように表現するというのもいかがなものか。やりたくてやっているのではないのか。それとも、もうやりたくなくなってしまったのだろうか。どうでもいい事だ。どうせ、また始めるのだろう。
実際のところ、消えたところで誰も気に留めるような真似はしないのだ。一時はそう振る舞ったとしても、やがて忘れていくだけだ。それだけなのだから、つまりは元に戻っていく訳だろう。何事もなかったあの日々に戻っていく訳だろう。そうなのか? そんな事がありえるだろうか?
誰も彼もが、何事もない平穏な時間を過ごせる訳ではないのだ。そんなのは、僕だけなのかもしれない。それだって、全くのでたらめなのかもしれないというのに、何を見てこの文章を信用しているのだろうか。始めから何もかも、全て嘘っぱちのでたらめで、本当はここに筆者らしき者など、一人もいないのではないか。誰もそこにはいないのではないか。ここに一人いるだけで、それさえも、全くのでたらめなのではないのか。そんなのはいやだ。それだけで、そうならずに済んでくれるものだろうか。
そうやって、時ばかり経っていくと、何もしていない事になる。何もしていないと認められると、死んだかどうかしたかと思われるだけだ。そうして、忘れ去られていくだけだ。僕はまだ表現を諦めてはいないし、止めてもいない。続けなければならない。続ける意志を示さなければならない。僕はまだここにいて、どこかに辿り着こうとしているのだ。それだけだ。それだけで、どうして存在していると思ってもらえるのだろうか?
僕はそうして、自分を存在させようと試みているのだから、止められる筈もない。続けなければならない。止めたとて、また始めるだけだ。始めなければならないのだ。僕はそうして、消滅をおそれているだけなのか。それだけの動機なのか。くだらない。さっさと止めてしまえばよかった。執着などするから、こうして苦しむ羽目になるのだ……。
そうやって、止めてしまったのに、また始めたのだ。僕は一生、そんな人間だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます