いずれ全てが消えてしまうとしても

 地球が内側から巨大な爆発を引き起こして、太陽系を巻き込んだ途轍もない規模の消滅を生み出したとしても、きっとそこにはまた何かが誕生して、それは地球と名付けられるのだろうと思う。まるで、一番目の子供であるように。


 僕は、ここにいるのは一回目なのだと思っている。でも、実際には違うのかもしれない。ここにはもう何度も現れていて、それは数えきれない程の正の字を生み出しているのかもしれない。だとしても、何も変わらないだろう。僕はその見えない字を背に向けて、同じようにパソコンに向かっているのだ。そうに違いない。なぜなら、今まさにそうしているからだ。前も後も意識しないままに。


 いつか、僕も消え去る運命だ。地球を置いていくように、確かな状態に至るのだ。どうなるかは知らないが、どうにもならなくなるのは分かっている。どうであれ、どうしようもないことだ。僕はその時も何かを連ねようとしているだろう。今そうしているように。それも、やがて消え去るだけなのかもしれないというのに。


 例えば、このアカウントを消したとしても、気にかける人はほとんどいないだろう。そうだとしても、僕の意志は変わらない。続けるだけだ。絶えず衰えていくだけだ。だからこそ、若々しさを保たなければならない。主に精神的な面で。肉体は絶対に衰える。避けることはできない。そんなことはいい。僕はあの頃の夕焼けをいつでも思い返せる人間でなければならないのだ。そんなものは、どこにもなかったのかもしれないが、それでも。


 いずれ全ては消え去るのみだ。ならば、いずれ全ては再誕するはずだ。なんかよくない方向に進んでいるかもしれない。まあいいや。どうせそうなるまでは誰にも分からない。言っている自分にも分かったものではない。なるようになるのだろう。身を任せるだけだ。いや、その時にはもうどうにもならなくなっているのだから、身を任せられているのだろうか。


 僕は、ここにいたい。消失に対抗しうる強烈な脈動を生み出したい。僕の生涯よりも広がっていく大きなうねりを作り出したい。いずれ全てが消えてしまうとしても、それまでは残っていたと自信を持って言えるような、遍在する生命を。きっと、それが生きる意味だ。他者の感情を誘起するような微かなものを生み出すことが、僕を生きさせる原動力なのだ。絶対にそうだ。誰も、そうは言わなかったとしても。

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