40pv

 何の事やらと、思うかもしれない。これは、過去に書き終えた小説(少し不思議な方)と、現在書き進めている小説(現代ドラマだのなんだのの方)の閲覧数を、それぞれ可算した値である。少なくとも、これだけはある。


 少ないと、思われるかもしれない。それは構わない。実際、この閲覧数を巨大だと思ってくれる人は、自分にとって途轍もなく都合の良い異世界の住人だけだろう。つまり、そんなのはどこにもいないという事だ。

 だが、僕の物語を読んでいる人はいる。例え最後まで目を通さなくとも、紡いだ物語に何の価値も見出せなかったとしても、それでもいい。僕の書いた文章を存在させた人が、そこにいるのだ。今はただ、それだけでいい。


 そしてその考えは、これからどれだけ数字が伸びたとしても、あるいは全く見向きもされなかったとしても、変わらないだろう。そう、信じている。信じているだけだ。だから、数字に囚われた醜悪な獣になるかもしれないし、飢えて干からびた隠者と成り果ててしまうかもしれない。しかし、少なくともそうなるまでは書き続けているだろうし、そうならなかったとしたら尚更、書き続けているだろう。僕はそうするしかない。僕はそれだけ、手際も悪ければ、地頭も悪いやつなのだ。


 だから、優しさがある。それを表現している。そんな事は、何の取柄とりえにもならない。優しさには価値がない。(だから、優しさに価値を付与しようとするのです。)倫理によって人が救われる事はないのだ。(人を救うのは、迅速な行動と明確な成果です。)僕も人を救う事はない。(これは本当。)ただ、僕の弱さを誤魔化しているだけの行為なのだ。どこかでその軽薄さに気づくだろう。そして、その気持ちの悪さに対して、呆気なく薄れていく興味を感じるだけだ。今まで何をやっていたのだろうかと、正気に戻るだけだ。僕は、現実を忘れさせる事もできなければ、現実と向き合わせる事もできない。だから40pvなのだ。


 そんな事くらい、僕でも分かっている。だから、そんな事を言われても、筆を折るには至らない。筆を折る時は、僕が書けなくなった時だけだ。おそらく、それは主に物理的な理由を伴うはずだ。なので、自分の体に気を付けておきます。

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