世の中は平日なのに

 僕は学生だ。いや、働いていないだけなのかもしれない。いや、どうせ何を言っても変わらないだろう。仕事終わりでもない時間に、余裕綽々に更新しているのだから、ろくでもない人間に変わりはない。


 いや、今日は休みという人もいるだろうし、皆とは働いている時間が違うという人もいるだろう。だから、そのままろくでなしに繋がる訳ではない。それでも、自分は変わらない。自分は間違いないのだ。だから、そうやって自分だけがそうであればよかったのに。


 いつも、同じような事を考えている。自分だけが不幸であったなら、自分だけが理解されないだけで、世の中はただ平日を感受かんじゅするだけで済んでいただろう。どうにもうまくいかないものだ。僕よりも頭の良い人が沢山いて、僕よりも頭の悪い人も沢山いて、それでも世の中が穏やかにならないのなら、僕一人がどうにかなったところでどうなるというのか。そう言って、自分が努力を諦めたら、誰が自分の代わりに努力などしてくれるだろうか?


 世の中は平日だ。明日もだ。明後日もそうだろう。帰納法かもしれない。どうであれ、僕はその流れに関与する事は決してないのだ。ここで一人、生きているだけだ。自分の代わりに生きてくれる人が見つからないから、仕方なく生きているだけのろくでなしだ。そうでないとしたら、それでも生きる事を決意したたっとい人間なのかもしれない。皆、そうであればいいだろうか。よく分からない。ただ、幸せでいられるなら良いと思った。しかしどうもうまくいかないのだ。その間も世の中は平日だった。そうやって僕の気持ちは、日々の喧噪けんそうに消えていくばかりだ。

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