眠れなかった

 遅筆ですいませんとか、フォロー返しはしませんとか、そういう風な事を伝えたくはなかった。いや、ある程度は事実ではある。だが、それを伝えた事で何か許された気になって、自分からは何も手を打たずに済ませるというのは、許容の姿勢を他者に求めているのと変わらないのではないか。一応書いておくが、他人がその様な行為に打って出ている事に対して抗議している。自分では、その様に伝えたくないというだけだ。


 結局、改善されないのなら、言うだけ他者への負担だと考えてしまうのだ。しかし、自分がどう思っていようが関係なく、明記すべき事柄なのではないか。あるいはこの様に書くべきなのかもしれない。「私は、他者の好意を無下にするとんでもない人間です」。この様に書けば一発だ。一発で、信用ならざる存在へと変貌するだろう。いや、逆に信用に足る存在になるのかもしれない。少なくとも嘘はついていない。それだけの責任は果たしていると言えるのかもしれない。だとしても、事実は変わらない。そう、これを書いている途中に朝の六時を少し回ってしまったのと同じ事だ。


 僕はただ、文句を言われずにロバに乗りたいだけなのだ。たったそれだけの事なのだ。誰かを傷つけたいのではなかった。傷つけられるなら、自分の方がよかった。自分なら納得がいく。自分なら、常に原因を抱えているのだから、傷つけられない方がおかしいのだ。他者はそうではなかった。そうではないと信じていたかった。その為に、自分というものを利用しているにすぎないのだろう。結局、傷を生み出さない様にする事もできなければ、傷を癒す事だってできやしないのだ。僕はその様な人間だ。その様な無力感の下に、それでも生きなければならなくなっている。それなら、傷を癒せる人でありたいと思った。思っているばかりで、結果はついてこなかった。そればかりだ。そればかりだ……。


 そう考えていて、眠れなかった。夢を見ていたのかもしれなかった。無力感に苛まれる夢……ならその時、現実はどう映るのだろうか。その時、現実はより酷い状態になって映っていたのかもしれない。夢でなくてよかった。現実であるなら、幸も不幸も受け止めて生きていける。そうするしかないのだから。

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