ネタ切れの前に命が切れるだろう

 そう願っているだけで、そうはいかないのだが。いや、これは今書いている物語の事ではない。短編集と銘打ったものだから、それぞれの独立した物語を書こうとすると、全く同じ事を書くわけにはいかず、少し手間取っている。ついでに、他にもやるべき事があるから、結果としてそれに割く時間を上手く用意できていないのだ。僕は要領が悪いのである。


 それでも、書くのが嫌になった訳ではない。むしろ時間が空いた事で、段々とその欲が強くなり、今こうして書いている訳なのだ。昨日はただ書かなかったのではない。書く為に英気を養っていたと捉えてほしい。いや、0時を回ってから書いているのだから、ほとんど昨日の様なものだろう。現実には異なるが、自分の中では変わらない。


 そうやって、世の中に自分をぶつけていくしかないのだ。僕というものが現実世界の中で生きていく為には、自分という存在が生きようとする意志を示した上で、それを現実の方に認めてもらう必要がある。その為にも、まだ命が切れる訳にはいかないのだ。結果としてネタ切れの方が先に来るはずだ。そうでなければ、非常に困る。


 とにかく、僕は書くだろう。ネタ切れが先か、命が先か、そんな事はどうでもいいのだ。実際、そんなに切羽詰まった状況でもないのだ。それが普通であってほしいものだ。それが全ての人の状態であってほしいものだ。そうやって願う時、いつもそうはいかなかった。だが、今は違うかもしれない。今は何かが変わってくれるかもしれない。そうしてまた、文末が近づいてきている。

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