第一部 1.ある探偵の日常

 ★ 2028年7月7日


謎の妹の失踪から気づけば10年が経った。


今となっては僕も社会人と言われる年頃になっていると言う事実にちょっと苦笑を浮かべてしまった。


そんな風に思いにふけりながら、窓際で本日2本目のたばこを吸っていると……


「ちょっと、蓮一郎さん!またたばこなんか吸って……肺に悪いから控えてくださいって何度も私に言わせないでくださいよ」


「……いきなりでけえ声出すなよモモ。びっくりしただろうが。あと別にいいだろたばこを吸うぐらい僕の勝手だろ。お前は僕の妻かなんかかよ」


「うわ!自分でモモのこと妻とか言ってる!!こいつエモ!!馬鹿そう!!探偵なのに!!!」


「家追い出されたいのかな……?ああん……?」


ったく。僕がまともな言動をしたらこのザマだよな……疲れる。


彼女の名は西園寺さいおんじモモ。モモという名前にまさにお似合いなピンク髪のロングストレート。特徴は目の色が緑色で顔つきは誰もが美少女ですと答えるだろうなと思えてしまうほど可愛いヤツだ。


彼女とは僕が探偵事務所を立ち上げて5年ほど前から、諸事情により2人暮らしをしている。


閑話休題。


「つーかどうしたモモ。なんか僕に用か?」


「なんか用か?じゃないでしょ!?まーた靴下脱ぎっぱしてあったよ!ちゃんと洗濯物に入れておいてって言ったじゃん!」


「ああ……わりい。すっかり忘れてた。すまなかった。以後気をつけますわ」


「むう……ほんと気をつけてよねほんと!ただでさえ蓮一郎さん足臭すぎるんだから。回収するとき死にかけたんだからね?」


「え……まじんこ?」


「まじんこ」


まじんこじゃねえよ……そのモモさんのストレート言動やめてもらえませんかね……泣くよ?ぴえん。


とそんなたわいもない夫婦(みたいな)トークを交わしている時だった。



ピンポーーン



「はーい?蓮一郎さん。たぶん……」


「ああ。今日の依頼人だな。とりあえず事務所に向かうぞ」


「う、うん」


探偵依頼がきちまったみたいだな。


さあ、今日も仕事を始めるとするか。




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ひまわり畑で見た妹の笑顔を絶対忘れない。 にゃこ @Heven2592

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