第14話 ヘブンズリバー
「っへん!お前たちを勇者って認めたわけじゃないぞ!勇者の相方がぺったんこなわけあるかい!」
船大工のドワーフは言った。
「おっちゃん、女の子に対して見た目で罵るんはよくないなぁ。ウチ怒るで?」
ベヒーモスが真顔で言い返した。
「ぺったんこなもんしかない奴にぺったんこって言って何か悪いんか?」
「…おっちゃん、もうウチ怒ったかんな?」
ベヒーモスからは誰から見てもわかる怒気が伝わってくる。
こりゃ、このドワーフ死んだな。ご愁傷様…。
「ベヒーモスさん、いいんです…。」
そう言うとマールは別の部屋に入っていった。
少しして、
「これで勇者のパーティとして認めてもらえるんですよね…?」
えっ??????
マールが巨乳…?
俺は目を疑った。
だって今まで貧乳なマールだったぞ。
なんで急に成長する?
しかもおっぱいだけ?
俺の頭の中はクエスチョンマークで溢れた。
「…お…おおぅ。姉ちゃん急にどうした…?」
ドワーフも頭の中にクエスチョンマークが溢れているらしい。
驚きを隠せない表情なのは手にとるようにわかる。
「戦闘で邪魔になるからサラシをきつく巻いていましたが、こうしないと認めて頂けないなら仕方ありません。」
「マールぅぅ、そこまでせんでもこんな奴ウチが捻りつぶしてやったんにぃ。」
ベヒーモスは全てわかっていたのか驚きはしていない。むしろ捻りつぶせないことに少々がっかり気味だ。
もうすぐ19歳ってことは合法ロリ巨乳。
って属性が多すぎだろ!
俺は前かがみになっている。
勇者と言われても中身はただの中学生だ。こんなの刺激が強すぎる。
鼻血が出ないだけましだ。
《君がいっつも変なことを考えるから、彼女を怒らしちゃったんだよぉ。》
う…、この脳内少女はいつも痛いところを突いてくる。
「おっちゃん、舟作ってくれるんな?」
ベヒーモスが問いただす。
「…、ぉぅ。男に二言はねぇよ。なぁ姉ちゃん。触らしてくんな…」
言い終わる前にドワーフはベヒーモスにしばかれた。
ドワーフの船大工は吹っ飛んだ。
綺麗に吹っ飛んだ。
そして・・・
伸びている・・・。
女性陣の怒りを買うとやべぇ。
思ったことを口にするのはよそう。
俺はドワーフの身体を張った反面教師っぷりに感謝した。
あなたの命、無駄にはしません。
俺はドワーフの前で手を合わせた。
「勝手に殺すな!」
ドワーフが目を覚ました。
「触らしてもらうのはまた今度でよい。作ってやらぁ。」
ベヒーモスが殴りかかろうとしたが、マールがなだめている。
こうして俺たちに舟が手に入った。
それとパーティに一人?一匹?追加されている。
見た目は小学生な幼女(年齢は100歳ぐらいのババァだが…。)
種族はキングベヒーモス…。
リヴァイアサンといい、キングベヒーモスといい、
俺は魔物使いか何かか?
「ここがヘブンズリバーか。」
《落ちたら死体は浮いてこないからね!天国行きの川だよ♪》
楽しそうにいうじゃんか…。
「ここは落ちたら魔物の死体も浮いてこんって言われているから気を付けーね!」
ベヒーモスも楽しそうだ。
なんなんだコイツら!!
「カペラ様、流れは急ですが、この舟ならきっと大丈夫です。先へ急ぎましょう。」
きっとじゃダメなんだって。
「カペラー乗った乗った!」
俺はこの遠足少女たちと一緒に舟に乗り込み対岸を目指す。
「おぇぇぇぇぇぇ…」
「大丈夫か?ベヒーモス・・・?」
「気持ち・・・悪い・・・。おぇぇぇぇぇ・・・」
完全に酔ったな。
ご愁傷様。
「マール、こいつの介抱してやってく・・・」
マールの顔も真っ青だ・・・。
こりゃ、介抱なんてしてる余裕ないよな。
「ベヒーモス、落ちないようにしっかり掴まって吐けよ!」
「おぇぇぇぇぇぇぇ」
こんなパーティでドラゴンのところに行って大丈夫かよ・・・。
舟から降りたら休憩をしよう。
ってかドワーフの船大工はよくこの状況で船頭までできるな。
案外すごい奴なのかもしれないな。
エロいけど。
精霊の勘違いで異世界に転生してしまい、強大な魔力を手に入れていた俺は此処にいます。 柊れい @hiiragi_rei7
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