屋上と海

 私は友人と高校の校舎の階段を上り、屋上へと向かっていた。高校を卒業し三年経つと、同窓会として卒業生が集められ、屋上へと向かう行事があるらしい。夢の中なので私はそう認識していたが、私の目に映る校舎も友人も皆現実のそれとは違う。けれど夢の中ではそういうことになっていた。

 私は友人と談笑をしながら他の生徒と同様に階段を上る。屋上へと辿り着くと、足元には水が溜まっていた。

 いつか沖縄で見たのと同じような、ほんの少し緑を混ぜた淡い青色。ホリゾンブルーの美しい海がそこにあった。地面は確かに屋上の床と同じだ。しかしそこに美しい海の水があって、ちゃぷちゃぷと風に揺れている。 

 更に校舎の敷地内までしかないはずの屋上は異様な広さになっていて、視界の先はどこまでも続いていた。水平線は見えない。地面が途中で空へとめくり上がっているからだ。時空が歪んでいるのかめくり上がった地面から水がこぼれることはなく、本来空があるところにまで美しいホリゾンブルーの海があった。

 まるで世界が空に落ちているようだ。私はそう思った。

 水かさは足首くらいまであったので、そのまま踏み出したら靴が濡れてしまうと思い私はたじろぐ。けれどもたもたしていると後ろがつかえてしまうので、私は先へ進んだ。

 海水に足が沈む。途中で深いところもあって、腰まで水が来る時もあった。けれど海はどこまでも透き通った色をしていた。

 しばらくすると半分水に沈んだ科学館のような場所に辿り着いた。そこでひとしきり遊んだあと目が覚めた。

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ゆめのはなし @nemuru

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