第3話
「なるほど、話は分かりました。そうですねとりあえず現場の確認等をさせて頂いてもよろいしでしょうか?」
「ああ、勿論構わない」
現場百遍とも言う。
事件を知るなら現場を見ずには始まらないだろう。
そうして、俺たちは何ヶ所かの現場に訪れ、最後に殺人が起きた現場に来ていた。
「総長!お疲れ様です!」
「うむ。ご苦労」
現場に張り付いていた騎士が敬礼をして此方へ声を掛けてきた。
カイン・J・アルソード
男性
27歳
職業:アルメイダ王国第2騎士団団員
アルソード子爵家の三男。
最近巷を騒がせている殺人事件の犯人。
抑圧された環境で育ち、ストレス発散で立場の弱い者に暴力を振るうことが楽しくなった。
が、職業として暴力を震える職業として騎士団に入団したが、その片鱗に気が付いた第2副団長に矯正の為に厳しく扱かれ更にストレスを溜め込んだ結果、警邏の隙を付いて犯行に及んでいる。
明日、まだ犯行が行われていないマルメール通りで犯行を画策している。
「……はぁ!?」
どんなネタバレだよ!
全く勘弁して頂きたい。
「どうした?ビスマルク伯」
どうやら、ウィリアム公が俺の事をカインに話し、現場を見させる様に話している途中に俺が叫んでしまったようだ。
「いえ、何でも」
怪訝な顔で見られたが、心を落ち着かせてニコリと笑って誤魔化し、そのまま現場を見させて貰うことにした。
「ビスマルク伯、どうだ?何か掴めたかね?」
「え?そうですね。どうでしょうか」
「ふむ。君でも難しいかね?」
「そうですね。少し状況を整理したいのでウィリアム公の都合が付けば私の屋敷に御一緒されませんか?」
「ふむ。そうか?ではそうしよう。おい、お前、引き続き警戒する様に!犯人が犯行現場に戻って来る事は多々あるからな!怪しい者を見逃すなよ!」
「はっ!かしこまりました!」
自宅に付き、応接間でお茶を嗜みながら、俺は話始めた。
「ウィリアム公、犯人が分かりました」
「誠か!?」
「はい。ただ、証拠が微妙なので現行犯逮捕して頂けると助かります」
「次の被害者を待てというのか!」
「そうです!ですが次の現場は予測できました」
徐ろに地図を開き、現場にバツ印を付けていく。
そして、マルメール通りを指差し告げる。
「この場所で警備の抜ける時間に犯行は起きます」
「何故、そんな事が分かる?」
「犯人は先程の彼、カイン・J・アルソードだからです」
「何だと!ならばその場で捕らえれば良かったではないか!」
「ですから、証拠が微妙なのです。捕まえたとしてもシラを切られれば釈放しなければなりませんし、警戒して次に捕らえるのは難しいかもしれません」
「なるほど」
「彼は警邏のルートも時間も知っています。その隙間の時間を狙っている様です」
「ならば、その時間に警備を増やし警戒を強めれば」
「警戒されては犯行を取りやめるでしょうね」
「……ならばどうする?」
「囮をつかいましょう。それで餌に食いついたなら確保しましょう」
「奴は何時犯行に及ぶ?」
「次のカインの休みは何時ですか?」
「分からんが、調べれば分かる」
「そうですか。……ですが恐らく明日、カインは動きます。犯行日の間隔から予測するならほぼ確実です」
「明日か」
「はい。囮には家のメイドをお貸ししましょう」
「問題ないのか?」
「はい、家のメイドは優秀ですので、それに明日は私も隠れて同行しますよ」
「そうかならば私も騎士団を集めて」
「待って下さい。それではカインに警戒させてしまいます。来られるならウィリアム公と後は数人でお願いします」
「わかった、何時集合する」
「昼の鐘3つ時に、この喫茶店エクレールで」
「昼3つ時だと!?」
「そうです、奴はその時間に必ず動きます」
「……あい分かった」
「ウィリアム公。来られる時は必ず平民が着るような服でいらして下さいね。騎士服だと目立ちますから」
「承知した」
こうして、大捕物は幕を開ける。
てか、ここまでは俺、小説で書いてるから、ぶっちゃけ起きること知ってるんだよねぇ。
序章も序章。
まだ、これから起きる強大な陰謀の陰の字も無い部分なのだ。
だから、説明文なんか無くてもまだ俺には分かってる。
だけど、スランプって進めなくなった所に説明なんて出来ないだろ?
俺が書いてるのに書いてない部分は流石に説明出来ないだろ。
ミステリー小説好きを舐めて貰っては困るのだよ。
ミステリーにミステリーのネタバレなんてさせやしないぜぇ!
ワハハハ!
突然、自分の書いていたミステリー小説の世界に紛れてしまった俺はミステリーに尽く馬鹿にされる。 no.name @fk2310
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