第二十三節

あの日の放課後、明日井さんのとこのカフェにて作戦会議が開かれた。

「これからのことなんだけど…」

「つ..次の行く機会はいつでしょうか。議長!」

「次の一ヶ月後はそんなに多くでは行かないつもりだわ。みんなで行くのは夏休みかしらね」

「行かなかった組はどうするんです?」

「本読んだり、ゲームしたり、遊んだり?」

「高校の部活でそれができるとは夢にも思わなかったよ」

「うゆゆ…冗談よ?」

「そんなぁ〜」

「できれば、このことを進めててて欲しいかな」

そう言って、鷺宮さんは明日井さんに本をを渡した。

「あ〜これね。任せといて」

「他に質問がある方?」

「服装なんですが…」

「といいますと、どういう要件かね志摩波くん。」

「行くなら、ちょっと前に言ってくれないと流石にスカートは…」

「大丈夫。あなたはヒロイン力でなんとかなるから」

「ヒロイン力?」

「加護みたいなものがあるんだ」

「そうなのか?」

水野さんや楠野さんがびっくりしたような表情をしていた。

「なら私にも言って欲しいかな」

「..此方ちゃん..まさか..ね?」

「何いつも通りだよ」

「向こうでも?」

「できればメイドコスをしておけばよかった..と反省している」

「…言っとけばよかったですね」

そう言って紙を取り出して、服の設計図を書き出した。

「私も、向こう行ってわかったことがある」

「灯くん。お聞かせ願おうか」

「まぁ、例の化学教師も気付いてはいると思うがな、あそこの土壌が此世界のものにすごく近しいんだよ」

「それは見てわかるような気もしますが…」

「近しいだけで、明らかに違うところも存在するということだよ」

「な…なるほど」

「私の仮説が正しければな」

「正しければな?」

「向こうの人たちはやがて、自身の…言うなれば能力が使えなくなると考えられる…」

「ま…まずいですね」

「ねえ楠野さん。あの人たちは何言ってるのです?」

「向こうの世界の人たちのことでしょうかね…」

「なんか同級生なのに置いていかれてる気がするわね…」

「だね…でも、ああ言うの見ているとなんかやる気出てこない」

「え〜なんの?」

「まぁ..勉強とか?」

「言われてみればそうかも」

「だね」

一方その頃明日井さんは。

「お…お父さん…スマホ…私のスマーホが…」

「よかったじゃないか。これで勉強に集中できるようになったな」

満面の笑みのお父さん。

「ヒ…ヒドイ…」

ぐすんっと少し泣き真似をして抗議をするも、バイトして買いなさいと言われてしまった。

「ね…ネナちゃん?」

「なくな、うゆゆ。なんとかなるっ」

「慰めてくれるの?」

「ん」

ヨシヨシされるのは悪い気がしなかったが、年下の女の子にされたことに恥ずかしさを覚えた。

「ば..バイト頑張りますか〜」

さて、その月稼いだバイト代は何に使われることになったのやら…

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ドタくな土田くん 大市 ふたつ @Remone-xo

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