第9話
「はぁぁ......」
深いため息をつきながら、お湯を顔にかける。
今いるのは風呂場。
湯船に肩まで浸かり、今日は変な一日だったという事を振り返っていた。
朝起きると氷空はなぜか裸エプロンだったし、学校に行くと謎の少女はいるし、午前のホームルームだけで学校は終わるし、夢では学校で会った少女と会うし......?
なぜ午前のホームルームだけで終わったのか、理由は会議と言う事。
......もしかしたら、学校の方で何かあったのでは?無くはないだろう。
例えば、学校の近くに爆弾が仕掛けられたり、テロのような予告が来たり......いや、考えすぎか。
もう一つ俺の中で考えがあって、それは、あの夢少女、咲茉が関係していると考えていた。
いや関係性としてはなくはないだろ......?だが、どうしてそう考えるのか。
なぜかそう考える理由というのは無く、ただ頭の中に咲茉が関係しているというのがあったのだ。
「うーん......」
もう一度顔にお湯をかけて考えてみる。
数分考えるもそれらしい答えは出てこなかった。
当然と言えば当然だが......というより、どうして俺はそのことばかり考えるだろうか。
とそう思っている時。
......脱衣所の方からなにやら鼻歌らしきものが聞こえる。
......まさか!?
「綾乃君、背中流してあげよっかー?」
考えていたことが見事に的中。
右目だけ赤く、少女という名の通り身長が低く、細身の体躯そしてこの可愛らしい童顔。
まっ、俺がロリコンだったら完全にこの子に恋してただろうに。
だが残念、俺はロリコンじゃないものでね。
......何を一人で言ってるんだ俺は。
「よ、余計なお世話だ」
「そうなのー?色々とお手伝いしよーかなって思ってたんだけどなぁ」
完全に俺を落とそうとしてるだろうコイツ。この子が言う言葉に、色々と想像しちゃう俺もどうかと思う。
ま、まあ、女の子に背中を洗ってもらえるとか一生ないだろうに......。
「......わ、分かった、じゃあ、背中よろしく」
「んー」
俺は一度湯船から出で、咲茉に背中を向けて椅子に座る。
......なんか緊張する。それと同時に恥ずかしさもこみあげてきた。
なんかいかがわしいことをしてる気分。実際違うんだけど。
「......なぁ、お前は、俺のことをどう思ってるんだ?」
「えっ?どうしたの急に」
「いや、なんか......」
咲茉はタオルで石鹸を擦り、その泡だらけになったぬぉるで俺の背中を洗っている。
この感覚は、すごく恥ずかしくてくすぐったくて......でも、ちょっと気持ちいい。
なんかやり馴れてる感はある気がする。
「そうだなー......というか出会って一日でしょ?」
「あっそうか」
「ふふっ......まあ、一日だけだけど、意外にしっかりしてて、頼りになる人かな」
咲茉は少し笑いながらそう言う。
褒められてないせいか、照れくさくってしょうがない。
「そう言えば、お前は夢の中に出てくるんだろ?じゃあ、どうして今まで出てこなかったんだ?」
「ああ......えっと、なんだろ。私は、特定の人だけにしか出れなくてさ。うーんと、何年かごとにその特定の人っていうのは変わっていくんだけど、今年は綾乃君が特定の人みたい。この特定の人っていうのは私が決める事じゃないんだよ。まっ、私が出たところで何かあるってことは無いんだけどさぁ......」
どうしてこの子は俺の所に出てきたのだろう。
ほんとに何年かごとなのか......?なんか、運というか、適当に決められているような気がするのだが。
あれ、ハーレムだと思ったけど違うのか......? らかん @dipper36
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