第8話

「――そう言えばさ、綾乃君の好きなタイプって何?」

「急だな......好きなタイプねぇ......」


自室にて。

俺は、少しの間部屋でのんびりと過ごしていた。そこへ、なぜかパジャマ姿の咲茉が入ってきた。

なぜパジャマ姿なんだとか、そのパジャマは何だとかってツッコミたくなるが、いまはやめておこう。色々とツッコむところがあるし......。

で、今の話題は俺の好きなタイプについて。というか、こんなこと聞いて何か意味があるのかすら分からない。

正直な所、そこまで好きなタイプとかはないのだが......まあでも、強いて言うなら一つくらいはある。


「やっぱ優しい人かな。あと......柔らかい人」

「えっ、ええと、優しい人っていうのは分かるけどさ......柔らかい人って何?物理的に?」

「物理的に柔らかかったらおかしいだろ!?......いや、そうじゃなくてさ......」


柔らかい人。そう言ってパッと出てくるのは物理的に柔らかいという意味。考えてみればそうか......?

なんていうかな......このことをどう表現したらいいのか......。

表情が柔らかいというか......性格が柔らかいというか......。

まあいずれにせよ、俺はあんまり異性に対して考えることが無いという事が分かった。


「ふーん、優しい人と柔らかい人ねぇ......」

「おい、何考えてんだよ」

「べーつに、ただ、やっぱり男子って優しい人がいいって言うなーって思って」

「ああ......」


見た目的に怖そうな人や、見た目は良い人そうだけど話してみると怖い人とか、そういった人のことを好きになれと言われても無理。

男女問わず、やっぱり優しい人っていうのはいい人だと思うよ。ほんとに。


「それで、この話題っていうのはどんな意味があったんだよ?」

「ううん、別に意味は無い。ただ、聞いてみただーけ!」

「はぁ......?」


なんというか、予想通りの答えだった。













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