第27話 アンケート集計

「高橋さん! 本当にゴメン!」


「もう良いわよ。私こそ悪かったわね。さっきの子は大丈夫だったの?」


 高橋さんと改札口から移動して、相澤さんと行ったバーガーショップに入った。席に座り、俺は高橋さんに頭を下げていた。


「大丈夫だ。これから部活って言ってたから」


「そう。あの学校に知り合いが居たのね?」


 入院中の出来事を話し、渡し忘れていたアンケート用紙の集計に入った。


「はぁ……文化祭で特進科って毎年、何をしてたのか知ってるか?」


 俺は催しの希望アンケートを見て、ため息を吐いて高橋さんに聞いた。


「この前、吉住くんが帰った後に聞いてきたわ」


「何て言ってたんだ?」


「クイズ大会とか、お薦めの参考書紹介。たまに出店があったみたいよ。こっちのアンケートはデザート系も多いわね。ほとんどが女子だけど」


「こっちにもデザートがあったわ。それにしても特進科は極端だな」


「仕方ないみたいよ。普通科や工業科に商業科は盛り上がってるみたいだけど」


「それでか。琢磨も……野球部の坂本って奴なんだけど『タコ焼きやで!』って叫んでたわ。それで、参考書紹介って誰が見に来るんだよ……」


 集計を終わらせた時、高橋さんが困惑した声をあげた。


「……これ、どうするのよ?」


 集計結果が『デザート』と『クイズ』で同点だった。


「明日の提出を、昼まで待って貰って欲しい。朝の時間に全員で決めるよ」


「それじゃ、月曜日の朝に報告するわ。他と出し物が被ってなければ、午後には決定するから」


「なあ、やるからには楽しみたいんだよ。やり方は任せて貰っても良いか?」


「何をするつもり?」


「文化祭当日は、陽一郎と安藤に真田、この3人に役立って貰う」


「変な事じゃなければいいわ。吉住くんなら大丈夫だと思うけど」


 あいつらは、『何でもする』って言ってたからな……盛り上げ役になってもらうぞ。


 高橋さんと別れてから俺も電車に乗って帰宅した。今日は透さんは夜勤で母さんと2人で夕食だった。


「部活に行ったんでしょ? 帰りが遅かったけど運動してないでしょうね。透さん怒るわよ」


「部活に顔を出した後、文化祭の用事があったんだよ」


「実行委員になったって言ってたわね。そういえば退院の時にケーキ貰ってたじゃない? お婆さんが退院の時に透さん、お礼を言ってくれたわよ」


「透さんは忘れないよ。俺も会った時に美味しかったって伝えたよ」


 母さんから返事が無い。どうかしたのか? と思い、箸を止めて母さんを見た。母さんも俺と同じ行動を取っていた。


「母さん、聞いてないわよ。いつの間に会ってたのよ」


「何を言ってるんだ。始業式の日に駅前で偶然会ったんだよ。東光大学附属だったみたいでな」


「てっきり遊びに行くような仲になったのかと思ってたわ。野球ばっかりだから珍しいと思ってたのに。その子、名前は何て言うの?」


「あぁ。相澤遥香さん」


「は…る……。そう……分かったわ。会ったなら仲良くしときなさいよ。良い男に産んでやったのに野球しかやらないんだから!」


「勉強もしてるだろ……」


 まだ母さんは無理なのか……?

 

 やっぱり透さんに相談してみようかな……


 食事も終わり、部屋で雑誌を読んでいたら、メッセージを受信したのでスマホを開いた。


『ヒロ、リハビリはどうだ? 動くのが辛いなら断ってくれて大丈夫なんだけど、良かったら学園祭に来ないか?』


 コウちゃんだった。東光大学附属の斎藤晃太。俺に野球を強要……違った、優しく教えてくれた人だ。今は良い兄ちゃんって感じだな。お互いに一人っ子だから余計にそう思う。


「東光大学附属の? 西城の文化祭と日程が違うから行けると思うよ」


『そうか! 一般客は招待券が無いと入れないから渡すよ。実はヒロの事を野球部の連中に言ったんだよ。そしたら、皆も気になってたみたいで会ってみたいって言い出してな……学園祭ならタイミングも良いと思って、俺もヒロと会いたいし』


 コウちゃんの誘いで、東光大学附属の学園祭に行く事になった。西城の文化祭より先だし、どんな感じか知るのにも丁度良かった。招待券を貰う為、後日の待ち合わせの日も決めた。



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斎藤さーん(*´∇`)ノ

良い働きっぷりだよー

彼の出番がやってきました( *´艸)

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