第2話 私、分かりました
わたしは気付いてしまった。
私が死んだのは、妹がこのリモコンでわたしを操作したからだと。
しかし、本当にそんなことありえるのだろうか。名前を書いたら死ぬノートじゃあるまいし、こんなリモコン1つで人を殺せてたまるか。
でも、もしここが死後の世界だとして、現代科学ではありえない技術があるのだとしたら?
人の死がリモコンによって決められていることもあるのかもしれない。いや、きっとそうだ。
じゃないと、このわたしが
あんな男....それは、わたしを芸能界へとスカウトした男だった。
奴は穢れたわたしの人生の中で、唯一心を許したといっても過言がない人物だった。
枕をする度に自分を見失いそうになるわたしが正気を保てていたのは、兎にも角にも彼の存在が大きかった。でも、それも彼が他の女と『キス』をしているのを見るまではの話だが。
唯一の心の支えだった彼の裏切りが、わたしの世界を暗転させた。
しかし、今思えば、このリモコンで操作された結果だったのかもしれない。だが、妹がリモコンを自ら進んで使うとは思えない。ただ、このリモコンしかない空間で、外に出る手がかりがコレしかなかったのなら.....
もちろん全て推測に過ぎないのだが。
でも、もし仮に先にここに来ていた妹がわたしを操作してわたしを殺し、この白い部屋から出たのだとしたら、とりあえず辻褄が合う。
そして、次にわたしが何をすべきなのかも予測が立つ。
次はわたしの番なのだ。
負の連鎖は終わらない。
誰かが恨むことを止めない限り。
わたしはあの男を思い出すかのように、そっとリモコンに唇を当てるのだった。
あなたが死ぬのは、わたしのせいかもね。
わたしが死んだのは妹のせいです あめいろ @kou0251
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます