読み終えた瞬間、思わず「恋愛ってなんだっけ」と思った。
なぜならキャッチコピーやタグに非恋愛とあるからだ。非恋愛。恋愛に非ず。そんな馬鹿な!?こんなに狂おしい恋で一途で重い愛なのに!?
……と、思ったあとに、でもちょっとわかるなと頷いた。
このお話を、恋とか愛とか簡単な言葉で語りたくない。もっと重くてもっとどろどろしていて、そのくせ芯にあるのは雪のように真っ白なのだ。
日魚子も爽も、とてもねじれてこじれて回り道のさらに回り道をしていて、根っこは幼い頃の気持ちと変わらないままに澄んでいる。そんな感じ。幼い頃に奥底にしまいこんだ大切な宝物を、壊さないようにと大事にしながら二人とも遠回りをしている。
すれ違いまくりの両片想い……なのだけど、やはりそういう言葉でまとめてしまうのがふさわしくないような気がしてしまう。
恋と呼べるほど綺麗な感情ではなくて、愛となるほど献身的になりきれない。愛だの恋だのに狂わされた二人が、幼い頃に自分でかけた呪いをようやく解放するまでのお話。
きっと、これから愛になっていく。