第44話 カワウソが泣いた日――争いの原点



 ええん えん えん えん

 ぼくは かなしい のです

 なぜって なぜって ……

 

      *

 

 ぼく カワウソ

 せいかくに いえば カワウソの ゴースト👻

 といっても かわいい から 許せるよね(笑)

 

 ぼくたち カワウソ はね

 いまから 40年 ほど前

 高知県で 目撃 された のが さいご なんだよ

 そう 危惧種を 超えた 絶滅種 って いうやつ

 えっへん かっこ いい でしょう (・´з`・)

 

      *

 

 なぜ そういう ことに なった のか というと

 キーワードは ぼくらの 毛皮に ある らしいよ

 

 外側の 差毛さしげが 内側の 綿毛を ぴったり おおい

 身体に 水が 侵入 する のを 防いで くれる

 二重構造に なって いるんだよ ぼくらの 毛皮

 

 そこに 目を つけた 欲の 深い 人間 たちが

 こぞって 毛皮を 防寒コートに したがったんだ


 まあ あれだね 戦時中の 残酷な 「犬の献納」

 あれと 同じ 感覚で 動物を 見て いるんだね

 人間 という やつは 野蛮な 種族 なんだよね

 

      *

 

 だけどね さっき ぼくが 泣いて いた のは💦

 もうひとつ べつの 話にも 原因が あるんだよ

 

 あのね 河童を 知ってる よね

 そう 全身 緑で 頭に みょうな 皿を のせた

 言っちゃなんだけど 不格好な 三頭身が 定番の

 

 その 河童 

 じつは ぼくたち カワウソが 老いた すがたと

 言い 伝えられて いてね どこかの 地方 では 

 年寄りカワウソ(河童)が 人と 相撲を とった

 なんていう もっともらしい 話まで あるんだよ

      *

 

 それより あきれるのは 「カワウソ 妖怪説」さ


 日本は もちろん 中国 朝鮮半島にも 若い娘や

 子ども 僧に 化けた 年寄りカワウソ(河童)に 

 化かされた 話が それこそ ゴマンと あるんだ


 あるいは カワウソ憑きは 魂が ぬかれる とか

 お化けカワウソが 美女の 魂を うばった とか

 もう ひどすぎて 目も あてられない でしょう


 自分で いう のも ちょっと アレ なんだけど

 実物は こんなに 愛くるしい のに ねえ(笑)

 

 え? オコジョに 似て いるし 愛嬌が ある?

 そう 言って もらえると ぼく的に 満足でちよ


      *

 

 ここまで おしゃべり して きて なぜ これが 

 戦争に 関係あるの? と 思って いるでしょう


 それがね あるんですよ おおいに

 種族(民族) 同士の 文化や 歴史を わかり 合う ことは むずかしい

 たとえば 勝手な イメージを おしつけられて いる ぼくらの 苦悩もね

 

 でも だから 争いが 絶えなくて 当然 という こと じゃないんだよね

 カワウソの ことは カワウソ にしか わからない かも しれない けど

 そういう 動物が いる ことを 認める ことから 始まるんじゃないかな

 

      *


 ちなみに この シリーズの 作者さんが ぼくの 話を 書こうと 思った

 のは 「戦争の 悲惨を 直接的に 伝えるのでは なく 動物を 主人公に 

 した 寓話や ファンタジーで 争いの 愚かしさを 発信 しよう という

 海外の 絵本の あり方に 大きな 感銘を 受けた から」 なんですって 

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