幕間 安堵

 終わりを認識した瞬間、どうしようもなく安堵した。

 我が事ながら、頭のどこかはひどく冷静で。どこか他人事のように、そう感じていた。


 ……わからなかったから。


 何を話すべきなのか。

 どんな顔をすればいいのか。


 あぁ、でも。

 きっと、もう逃げることはできない。

 ずっとずっと、逃げてきたけれど。

 ツケを払わなければならない時は、すぐそこに迫っていた。

 ……いや、ツケを払うべき時は、きっととうに来ていたのだろう。

 見て見ぬふりは、踏み倒すことは、話さないまま逃げ切ることは。

 もう、させてもらえそうにない。


 永遠にも似た刹那、を甘んじて待つ間、頭によぎったのはそんな考えだった。


 ──あぁ。

 やっぱり、何度繰り返しても慣れないな──。

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十三日目は金曜日 ~キミが死ぬまで来ない未来(あす)~ 宮代魔祇梨 @AmaneMiyashiro

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