お化けなんてないさ

とま

第1話 気に食わないもの

田中和雄は一人、部屋の中で新聞を開く。


最近の記事は気に食わないものが多い。

新型ウイルスの死者や感染者数など興味もないし、

海外の政治なんて知ってどうする。

少子高齢化で人口が減るなど、自分には関係ない話だ。

一番理解し難いのが「LGBT」関連のニュースだ。


同性愛者だかなんだか知らないが、所詮人間も動物であり、

オスとメスがいて初めて子を設けられるのだ。

それをまるでわかっておらず、若い時の恋愛感情だけで人生を潰すのはどうかと思ったりもする。


だから少子高齢化が進むのだ。


そんなことをグルグルと考えていると、もう新聞など読む気にもなれず、閉じてしまった。


5時を知らせるチャイムが町内に響き渡り、夏至をとうに過ぎた町は寂しいような夕焼けに包まれていく。


妻が生きていた頃は、5時になると彩よく、栄養バランスの良い夕食が出てきていたものだが、生憎私は料理ができない。

妻が亡くなってから約一ヶ月、近くのコンビニエンスストアで出来合いの弁当やパンなどを買って凌いできたが、この間出費の計算をすると結構な額になっていたことに驚いた。


少し妻の煮物の味が恋しくなったが、そんなことは気のせいだと思いつつ、今日もコンビニエンスストアに向かうべく、重い腰をあげた。



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お化けなんてないさ とま @toma0504

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