第28話

「あははははっ」

甲板で私を抱えたままのずぶ濡れのオリヴィアが大爆笑する。

「キョーカ、お。泳げなかったの?」

「……何よ文句ある?」

「ますます可愛いねぇ。あははっ」

オリヴィアは私の頭をぐりぐりと撫でながら笑う。

はぁ……。最悪だぁ。


「て言うか、ねぇ」

「あ、はい」

私が呼びかけると、意外にもピッと真顔に戻ったオリヴィアが私に向き直る。

「なんで私落ちてるの? ついさっきは湖の上走れたよね?」

「あーね」

オリヴィアは左頬を掻きながら小さく笑う。

「今回みたいにボートとかで水の上に出ると、水上走りモードになってない状態だから、普通に水に落ちちゃうっぽい」

「最初から水上を走ってたら、こうはならないってことね?」

「そ。でもアレ普通に疲れるから、今回はこのボートで来たんだ」

オリヴィアはボートの船首を指差しながら言う。

なるほどね。

船上設定だったのに、急に水上に出るから設定変換がうまくいかなかったってことか。

案外こう言うところは、この世界はしっかりゲームっぽい。

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電磁超越世界大戦-Solenoid World War- 富士蜜柑 @fujimikan

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