第27話

「待って待って待って。え?」

「ん?」

オリヴィアは私の今の気持ちなど一ミリもわかってないような顔で小首を傾げる。

いや、そんな可愛いポーズされても。


「じゃあ今、その謎の情報を頼りに、ハワイ向かってるわけ? なんの相談もなしに?」

「そうだけど? だって、キョーカ難しいこと言ってもわかんないでしょ?」

「は?」

「あ……」

オリヴィアは、しまったー、と言うような表情を浮かべ、右手を口元に当てる。

「あっ、そう。オリヴィアは私のことだと思ったから相談無しにここまできたのか」

「あ、いや。その、そう言うわけじゃ……」

「じゃあ何? どう言う意味?」

オリヴィアはあたふたと胸の前で手を振りながら弁明を試みるも、もう遅い。

「私降りる。じゃーね」

「えっ、あっ。ちょ--」

オリヴィアの静止を振り切り、船のデッキに足を掛け、ヒョイッと海上に降り立つ。

--はずだった。


「え、きゃああ!」

ザバーンッと大きな水飛沫を立てて、私は無様に海の中に入水した。

「え、なんで沈んでるの!? 海の上立てるんじゃないの!?」

私が虚空に向かって叫ぶも、誰も答えてくれる者はいない。

「え、キョーカ沈んでない!? 大丈夫!?」

水上からオリヴィアの焦ったような声が聞こえてくるも、彼女の姿は水面の遥か頭上にある。


--そう。

つまるところ、私は泳げないのである。

っボゴゴゴ、ボブブッオリヴィア、ヘルプッ!」

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