社会の犬か、ペットの犬か。
それから俺は翔子さんと過ごして月日は流れた。大学を卒業し、大手企業に入社した。会社に入社した後も俺は翔子さんとの付き合いを続けていた。
俺たちに肉体関係などはなく、ただ一緒にいるという奇妙な関係だった。
「社会には腐った人しかいない。だから自分も腐っていくしかない。元々そうではなかった人も必ずそうなるの」
ベッドに一緒に寝ているとそんなことを言われた。
「それは嫌ですね」
「嫌だけど受け入れるしかないのよ、上手く社会で泳ぎたかったらね」
そんな社会、壊れてしまえと思った。それでも俺なんかがそれを声を大にして言っても社会とやらには嘲笑されて終わり。それなら腐ることを躊躇わない方がいいのかもしれない。
「抗ったら、無駄なエネルギーを使わなければいけない。人類はだからこそ諦めることを覚えたのかもしれないわね」
「翔子さんでも、何か諦めたんですか?」
「そりゃあ、諦めてきたわよ。そして、社会に順応してきた。犬になったのよ、貴方よりも先にもっと上手にね」
犬になる。それでも、俺たちは生きていかなければならない。
犬になる。 迷い猫 @straycat_7
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