第五十五回 ……突然の最終回。


 それは、この場所から始まること。

 そこは、秋桜の丘。公営住宅の敷地内にある風景なの。トンネル抜けたら……



 とても短く感じられる暗闇。その向こうに広がる世界。二人、手を繋いで……

 駆け下りる石段は、河川敷へと続くの。


 物語には終わりがあるけど、


 僕らが綴る物語は、姿を変えても続いてゆく。都築つづき怜央れお君と一緒にまた。エッセイに挑戦した日々は、ポエムへと移り変わるの。夏から秋へ変わるように。それはまるで、向日葵から秋桜のようなイメージ。怜央君が、背中を押してくれたから。


 僕が初めて知る怜央君のことも、受け止めて。


 ――新たなる世界観へと旅立ち。今度は僕が、学園のお昼休みに放送するの。僕自身が綴るポエムを、千佳ちか先輩や可奈かな先輩に変わって朗読する。それが怜央君の、僕に対するリクエストなの。そしてその時は、僕と放送室に、怜央君が一緒にいてくれるという。



 新型ウイルスは僕らを束縛して、その恐怖を纏わりつかせるけど、いつまでも恐怖に怯えないの。そこから切り開く生活。僕らは約束を交わすの、この河川敷の場で……


 決して負けないこと。


 何があっても二人は、パートナーであること。……なので、告白なの!


星野ほしの葉月はづきは、都築怜央君を愛してます」


 ――顔がもう真っ赤と思う。でも、眼鏡なしの素顔だから、全力全開の勇気なの。届けとばかりに、僕の想いを注入。見えない瞳のレーザービームで、想いという言葉を。


「僕も……都築怜央も、星野葉月さんを愛してる。

 だから、ずっと一緒にいてほしい」


 ……嬉しすぎて、もう笑顔の奥の涙まで溢れた。


 そしてギュッと繋ぐ手と手。そこから歩みゆく二人の道は、新たな章へ旅立つの。


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ハヅキミクスなの! 大創 淳 @jun-0824

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