タイ家族旅行
加福 博
バンコクにて
1991年の春、私たち家族はバンコクに赴任している叔父夫婦を訪ねることにした。おばあちゃん、母、弟、そして私。日本米が手に入りにくいというので、バックパックに詰め込んで運んだ。驚くべきことに、税関では何の確認もされなかった。
バンコクに着いて最初に感じたのは、その街の独特な匂いと熱気だった。叔父はある企業の所長を務めており、毎日強盗に遭わないようにハイヤーの道順を変えていたという話を聞いた。タイはそんなに危険なのかと驚いたが、それはもう30年前の話だ。
叔母がアレンジしてくれたタイレストランでの食事も忘れられない。特にチキンの入った辛いグリーンカレーが絶品だった。そのレストランではタイの古典音楽や舞踏も楽しめ、異国の文化に触れた豪華な体験だった。
大阪に戻ってからもタイ料理の魅力は忘れられず、御堂筋線の江坂駅から歩いて10分のところにある「セパタ」というタイレストランに通うようになった。この店は安くて美味しく、入るとすぐに体感がフィットする。心斎橋のタイレストランでも同じフィーリングを感じた。どうやら私はタイに縁があるらしい。
エスニック料理と言えば、私はインドレストランか韓国レストランにしか行ったことがない。インド料理は辛いベジタブルカレーが大好きだが、店の調度品があまり好みではない。韓国レストランは美味しいキムチに当たればいいが、酸っぱいと食事全体が幻滅してしまう。
セパタでは、エビの入ったトム・ヤンクン・スープと米粉の麺を使ったパッタイが私のお気に入りだ。友人と数回訪れたが、行くたびに必ずオーダーしている。人気店でランチもディナーも予約が取れるが、ビールとウィスキーが高いため、駅から店までの間にあるコンビニでビールを飲んでから行くのが私のルーティンだ。
タイのガイドブックには、「サヌック=おもしろい、楽しい」、「サバーイ=気分がいい、元気だ、快適だ」、「マイペンライ=心配しないで、大丈夫です、気にしないで」の三つの単語が大切だと書いてある。サヌック、サバーイは理解できるが、マイペンライは難しい。「私のことなら心配しないで、大丈夫です、気にしないで」という意味とは裏腹に、「あなた心配しないよね、大丈夫だよね、気にしないよね」という意味もある。タイ人は何でもマイペンライと言うことが、嫌だと感じる外国人もいるようだ。
また、タイには古式マッサージがあり、これは「なまけもののヨガ」と呼ばれている。実に私にぴったりのマッサージだ。タイのことを面白く書いたが、実際には一生懸命働いている人も多い。特に華人だ。私はFacebookを通じて知り合った動物病院を経営している夫婦がいる。彼女はBMWに乗っているが、バンコクの大気汚染がひどいと言っていた。それでも私は、またタイに行きたいと思う。
タイ家族旅行 加福 博 @Donnieforeverlasvegas
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