あるところで聞きました。人は、自分が何者であるか、その一部を他人に預けていると。主人公は、特殊な制約を持つ作品世界において、少ないながらも信頼を置ける他者と関わっていきます。その中で見えてきた自分とは……自分を愛せない人間は他人を愛せないとしばしば言われますが、他人を受け入れないと自分を受け入れられないという逆理も真実だと気づかせる小話です。