第4話
時は経ち、兄は大学受験を浪人し、一浪を経て地方の国立大学に入学した。そこまでは、まぁまぁ普通に短気なだけであったと思う。兄は地方で一人暮らしを始めた。バイトもし、大学の友達と遊ぶことで彼のキャパシティを超えるほどの怒りは無かったのだろう。この頃は私自身への被害はほとんどなかった。良好な兄妹関係を築けていたと言える。しかし、兄は兄だった。社会経験が無い上に、常識というものを身につけていないために、奨学金で軽井沢に旅行に出かけたり、またまた奨学金で5万円のスーツケースを買ったり、20万円の詐欺にあったり、、、。それでもなんとか母の力によって全て丸く収まっていた。事件は、一通のメールによって発覚した。私が看護学生1年生だった頃のことである。メールの差出人は兄の大学の研究所の教授であった。「息子さんが研究所を何日も無断欠席しています。このままでは単位や卒業が危ぶまれます。安否を確認していただけないでしょうか?」こんな内容であったと思う。海を越えないと行けないような地方まで、安否確認に来いと。母は兄にLINEをしたが、未読に終わった。直ぐに飛行機とホテルをとり、2日後には母は兄の元に向かった。兄は生きていたが、ほとんどご飯もろくに食べず、バイトもほとんど行かずに部屋で携帯ゲームをしていた。彼の中で何かが切れてしまったのだろう。結局、何が原因で大学に通えなくなってしまったのかは妹の私には知らされていないが、この頃は常にお金がないとLINEがきていた覚えがある。大学4年であったが、もちろん就活なんてものはしておらず卒業も怪しかった。しかし、母が教授と密に連絡を取り、なんとか卒業できた。ほぼ奇跡である。兄は大学を卒業してから、アパートを引き払い、実家に戻ってきた。ここから、私の地獄の日々が始まるのである。
私の兄は小学生 枝豆 @edamamemame
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の兄は小学生の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
私の背中にはネギがある?最新/Minc
★7 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます