誕生日

フレイムハート

心残り

私が目覚めたときには既に手遅れだった。いや、仮にもっと早く起きていたとしても私に止めるすべがあったのかは現状を見るに怪しいかもしれない。


なんて、考えたところで仕方がない。とりあえず私はその部屋を掃除することにした。ここが誰の部屋でなんの目的で私がこの部屋で眠っていたのかについてはまるでわからなかった。ならばとりあえず目の前の惨状をなんとかしようと思ったんだ。


いや、それは建前か。本音を言うと私はキレイ好きなんだ。だから私の居る空間に汚れがあることが気に入らない。それは衝動だった。


掃除と言ってもこの部屋には掃除用具はおろかゴミ袋すらない。ゴミを詰め込むバッグもだ。だから仕方なく部屋の片隅にまとめることにした。


これは自慢なんだけど、私は整理整頓もかなり丁寧でそこは自分の得意分野だと思っている。衝動的に掃除をする私が整理整頓もままならない人間だったとしたらお話にもならない。


「ふぅ…」


体感一時間はたったかな。


掃除をしつつ部屋の内装も確認していた中気がついたことがある。この部屋、扉や窓がない。まるで四角い立方体の中にいるような、部屋というのも怪しいものだ。


わからないことだらけだけどわかることもある。掃除をし始めた頃から動いている以上の疲労感を感じていた。休憩がてら仮眠でもしようかと寝転んだときに気がついた。


「動いてる…?」


そう、天井が動いていた。正確には迫っていた。ぱっと見じゃわからなかったけど段々近づいているような気がする。


気がついた途端目視でわかるなんてレベルじゃないほど急激に近づいてきた。


「これは…やばい…」


どんどんどんどん近づいて、もはやそれは落ちてくると行っていいほどのスピードが出ていた。そして私は…。




目を覚ました時、部屋はひどい有様だった。


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