第14話 900年前と現状報告

二人は、無事に第5層のボスを倒し、納得した表情で街に戻った。

カイトはステイタスが上がり、アカネはレベルを上げた。



=カイト=  C級冒険者

レベル2 HR 008

STR:B

VTI:C

DEF:B

INT:C

AGL :S

ー全権能ー(完全隠蔽)

権能を全て使用可能

ースキルー

刀術:C 気配察知:B 刀気:ー



=アカネ=  E級冒険者

レベル2 

STR:C

VTI:D

DEF:D

INT:B

AGL :D

ー権能ー(完全隠蔽)

許可されたもののみ使用可能

ースキルー

弓術:B 気配遮断:C 属性付与:ー



「いや〜しかし。スキルというものはすごいな!」


「そうですね。ここまでのものとは思いませんでした」


カイトは、いつものように興奮していたが、アカネは他のことを考えていた。


(この力があればいつかは、あいつらを・・・・)


「・・・・・ネ、・・・カネ、アカネ!」


「え、はい!」


「大丈夫か?」


「はい。すみません。考え事をしてました」


「そうか。とりあえずギルド行こうぜ」


ランク上がるかもだし。と足早にギルドに向かうカイトを、アカネは追いかけた。





「え、上がらない?」


「はい。アカネさんはC級に昇格するのですが、カイトさんはまだですね」


「なんで!?」


期待していた分、反動が大きかったのだろう。


「B級以上は、第30階層以上をクリアしたものに与えられるので」


「・・・・・・・鬼畜だ」


それにはアカネも同意した。スキルと下界のルールに従って、天辺に帰ると決めたのは自分たちだが、5層でも苦労したのに30層とは。




それからしばらくして、二人はあるところに向かっていた。


「おい。それ以上近づくな。ここは神子様のいる教会だぞ」


そこは、神子が生まれ、以来、裁定者の言葉を賜ってきた神聖な教会。

数ある教会の中で、最も格式高くたとえ王族でも簡単には入れない。


そこに、見た目普通の男が入ろうとしているのだ。こうなるのは当然だ。


「知ってるよ。その神子ちゃんに会いにきたんだけど」


「貴様!いきなり現れて、『神子ちゃん』だと!?」


「カイト様、事前にお伝えしたのですか?」


「あ、忘れてた」


「おい!話を聞いているのか!?」


(あー、神子ちゃん?いま教会の前に来てんだけど入れなくてさ)


(え!?裁定者様!?す、すみません!今開けます!)


そう言った時、突然教会の門が開いた。


「!?」


先ほどまでカイトたちの対応をしていた衛兵がなにが起きているのかわからず、狼狽している。この門が開いたのは、史実によると神子がはじめて誕生し、お披露目をした時だけ。その門が目の前で開かれている。


「じゃ、ご苦労さ〜ん」


気の抜ける言葉とともにカイトは門をくぐった。


その姿は、いつもの頭のおかしいカイトとしてではなく、裁定者としての姿だった。


その後ろでは、先ほどの衛兵が綺麗な土下座を決めていた。




「久しぶり。神子ちゃん」


「はい!お久しぶりです!裁定者様」


綺麗に膝をついて頭を下げていた。

神子が普段いる部屋には今、カイトとアカネ、神子だけがいた。


「あ〜、こっちではこっちではカイトって名乗る事にしたから」


「かしこまりました。カイト様」


「カイト様、そろそろ本題の方に」


アカネに言われ話し始めた。


「900年前、なにが起きたか覚えてる?」


「・・・・・え?」


ちらっと神子の方を視線をやるとアカネは首を振っていた。


「・・・・いえ、私はこちらにいましたので」


「そう。何か思い出したら、教えてくれ」


「わかりました」


カイトは、この世界に来て100年世界の秩序と安寧を守るため、さまざまなことをした。文明レベルの向上に、不穏分子の早期排除など。

しかし、ある程度安定した100年後から最近までも記憶が全くと言っていいほどない。残っているのは、最初の100年と最近の50年ほどだ。


900年の間に何が起きたのか、それを知るのはごく僅か。


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世界の裁定者〜陰ながら世界の秩序と安寧を守る王〜 @konno0523

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