第13話 これからやることとスキルの発現

「これからだが、家に帰ることを目標とする」


「普通に帰るのではダメなんですか?」


「だめだ」


「では、攻略するのですね?ご自分で作られたダンジョンをカイト様自身が」


なんてチートだろうか。それはまるで、迷路を書いた奴が自分でゴールするかのようだ。


「い、いいだろそれぐらい。ステイタスの差はそれぐらいしてもいいぐらいだろ?」


その前に、お互いにやらなくてはいけないことがある。


「そういうことなら、まずスキルを発現させましょう。スキルがないまま行くのは、今のカイト様では、力不足です」


ダンジョンの外にいる魔物達、つまりダンジョンが創られる前より存在する太古の魔物達。奴らは、たとえレベルが4以上あったとしてもスキルが豊富でも勝てない。

なぜなら、ステイタスとスキルの恩恵は、ダンジョン内でしか適応されないからだ。

これまで冒険者は、太古の魔物から溢れ出す魔素によって形作られた魔物やダンジョンの攻略を目的に多くの魔物を狩っていた。

冒険者の等級はその実績から、ギルドの判断により与えられてきたことに前回の改変でなった。カイトがドラゴンを討伐できたのは、完全に権能のおかげなのだ。


「つまり権能を使わない俺たちは、弱い?」


「そういうことです」


「なら、レベルを上げ、スキルを成長させ、あの理不尽野郎どもを倒さなきゃいけないのか。・・・・なんてクソゲー」


「クソゲーってなんですか?」


「よく知らんがこういう時に使うらしい」


「しかし、あのもの達の強さを設定したのはカイト様ですから、自業自得ですよ」


「そう入ってもなあ〜」


「でもいいじゃないですか。こういうのをファンタジー?というのでしょう?」


そうだ。聖書の大半を占めるファンタジーを描いたの書物。これを体験するためにここまで来たのだ。これ以上の舞台はない。あとはその舞台に上がるだけだ。


「そうだな。アカネもわかってきたではないか!」


全くわかってないのだが、こういえば主人が動くことは知っている。


「では、いきましょうか。ダンジョンへ」



ダンジョンへ到着し、早速攻略し始めた二人は今。


「うおああああああああああ!!!」


「!?!?!?!?!?」


全速力で逃げていた。


「待て待て待て!!ここまでとはっ」


第一層から第五層のフィールド攻略はうまくいった。

しかし、問題は五層ごとに配置したボスだ。スキルなしでは歯が立たず、逃げることしかできなかった。

ボス部屋に入ると、緊急脱出用のアイテムを使うか、ボスを倒すか、もしくは死ぬか

この選択に狭まれる


そして最前線で攻略している冒険者は第五十九層。六十層のボスを倒せないでいる。


カイト達は、まだ第五層。これが良くも悪くもステイタスの恩恵というやつだ。

肩書きはどうであれここではステイタスがすべて。

いきなり最強でトップランクになろうなど甘すぎる。


なんとか各層にある脱出ポットに入り、外に出た。


「はあはあはあ。強制討伐のシステムにしなくてよかった、大丈夫か?」


「は・・・い・・。なんとか・・・」


しかし、ここまでとは。どうやら権能を使わなければ期待の新人になるなど夢のまた夢のようだ。


「とりあえす、まずは攻略は急がず、スキルに専念したが良さそうだな」


「ですね。戦うための武器を身につけないと」


今二人が持っているのは、街の武器屋で買った。銘はないがそれなりの剣のみ。

カイトは刀で、アカネは魔弓(ダンジョン内や魔素のあるところでしか使えないが、INTが高ければ高いほど威力と精度が上がる)。


なぜ刀なのかは、言わずもがな


「ロマンだから」


これだけだ。


「よし。なら今日は第一層から第五層のボス前まででスキルを身につけるか」


そういて二人は、納得のいくまで回り続けた。

そうして二人に発現したのは


カイトは、刀術:C 気配察知:B 刀気:ー

アカネは、弓術:B 気配遮断:C 属性付与:ー


技術系のものは、その武器に対応したものが発現し、気配察知と遮断は前衛と後衛で分かれたのだろう。特にアカネが気配遮断を極めてしまえば、敵にとっては脅威にしかならない。

刀気と属性付与はそれぞれ鍛えることはできないが、自身の成長とともに比例して強くなる。


「なあ。アカネ」


「なんですか」


「こんなはずじゃなかったんだよ」


もっとちやほやされるはずだった。とカイトは言う。


「私は、楽しいですよ?またカイト様と1から何かを始める。あの楽しかった日がまた遅れると思うと」


「・・・・・・そうか」


確かに、と一千年前のことを思い出しながらこれからのことを考えた。


「明日、ボス倒したら、一度神子ちゃん達に会いに行くか。色々聞きたいこともあるし」


「そうですね。手配しときます」


そうして二人は、明日に備えるため宿に戻った。



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