第12話 ステイタスの恩恵と変化

ステイタスが世界に適用されたことにより、世界は変化の時代に入った。


これまで、目に見える強さというものがなかったために戦いに身を置くもの達の変化は大きかった。


特に、冒険者は、これまで冒険者間の私闘やダンジョンの踏破階数で、決めていた。


が、今回の改変で自分と他人の力関係が可視化されたためにギルドでは力を誇示するもの似たようなステイタスを持つもの同士で盛り上がったり、弱点すらも曝け出すようになったので、補うためにパーティーを組んだりしていた。


「おう、俺はAGLが低いからさそこまで俊敏性がないんだ。良かったらパーティー組まねえか?」


「いいわよ。逆に私はSTRが低いから火力面は任せるわ」

などなど。


そんな中、カイトはーーーーー


「・・・・・・・・・・・・・・・」


ギルドの隅で小さく体を抱えるようにうずくまっていた。


数分度、アカネがギルドに到着した。


アカネは、すぐにカイトを見つけることができた。


「・・・・何やってるんですか」


その声にカイトは縋るような目を向けアカネに泣きついた。


「え?本当にどうされたのですか?」


(このような姿の主人は久しぶりに見ました。一体何が・・・)


「ア・・・アカネ〜、誰も・・・誰もパーティーに誘ってくれないどころか俺のステイタスを見た瞬間に誰も目を合わせてくれなかった・・・」


「え?それは本当ですか?」


(そんなはずは)


アカネは権能を使い、周りの冒険者のステイタスを覗き見た。


本来は、お互いの了承を得なければいけないが、権能を持つもの達にとっては、そんなものは必要ない。


(なるほど。そういうことですか)


そして理解した。


ギルドにいる冒険者の中で比較的平均的な冒険者のステイタスはこんな感じだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

=グイン=  C級冒険者

レベル4

STR:C

VTI:B

DEF:A

INT:D

AGL:S

ースキルー

剣術:S 危機察知:A 投擲:S 回避:SS

体術:C 限界突破:ー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これは、裁定者であるカイトよりもはるかに強い。


まずレベルは、1と2では格が違う。


1でステイタスがオールA以上になった時初めてレベルが上がる。そしてカイトは、2。平均で4。相手にされるはずが無かった。


権能を使えば、レバルの差は皆無になり、圧倒できるが、おそらく・・・


「せっかくステイタスができて、権能を使わずとも最強になれたと思ったのに・・」


「これはおそらく、ステイタスには、これまでの経験が反映されるのですよ。カイト様は下界に降りて、まだあのトカゲした討伐していない。しかし、下界のもの達は、これまで多くの経験をしてきたはず。それが一気に反映されたのでしょう」


ステイタスが反映されたことにより、裁定者ならではの強さはなくなったのだろう。


「つまり?これからどうすればいい?」


アカネか思考をフル回転させた。主人が楽しげに世界の管理をしていた頃、聖書マンガにはまり毎日のように感想を話していた頃を思い出しながら、出した結論は・・・・


「成り上がりです」


「成り上がり?」


「はい。マンガにあったではないですか、最初は弱くても努力して強くなるものが」


「聖書な・・・。そうか・・・・そうだな!!」


よし!やるぞ!と意気込み、新たにできたランクをステイタスに反映させるため受付に向かった。


「これは嬉しい誤算ですね」


そう呟いた時、アカネの背後に一人の女が現れた。


「奴らの目を欺くことに成功しました」


「そうですか。ありがとうございます。引き続き任務の方お願いします」


「御意。我が主人のため」


そう言い残し姿を消した。


「ようやく、以前の姿に戻ってきたんです。もう2度と好きにはさせない」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る