第11話 ステイタスと守護者の役目

裁定者のためだけに行われた世界改変後、これまでの世界に変化が訪れていた。


ステイタスの誕生である。


これまでこの世界では、ダンジョンを踏破した階数で強さを決めていたが、長い時を経ても終わりが見えてこなかったため、強さの比較による争いは薄れていた。そんな世界に突如としてステイタスが反映された。


これにより個人の強さが目に見えてわかるようになった。


「おいっ、アカネ!ついに反映されたぞっ」


「良かったですね」


「ああ!管理者め、よくぞやってくれた!!!」


喜ぶカイトを眺めながら、アカネは焦っていた。


(このままではあの者達に付け入る隙を、またっ。そんなことはさせない。一度眷属達と話さなければ)


そんなことが考えているとはつゆ知らず、カイトは自分のステイタスを確認していた

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=カイト=  C級冒険者

レベル2 HR 008

STR:D

VTI:C

DEF:B

INT:D

AGL :A

ー全権能ー(完全隠蔽)

権能を全て使用可能

ースキルー

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「おおおおおおおお!!キタキタキタアーーーーー」


聖書を読み込んだ身としては興奮せずにはいられないだろう。


「アカネのも見せてくれ!!」


「え?」


考え事をしていたアカネは珍しく主人の問いに気がつかなかった。


「ステイタスだよ、ステイタス」


「あ〜、わかりました。ちょっと待ってください」


そういうと少し手を動かし、納得できたのかカイトに提示した

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=アカネ=  E級冒険者

レベル1

STR:A

VTI:B

DEF:A

INT:A

AGL:B

ー権能ー(完全隠蔽)

許可されたもののみ使用可能

ースキルー

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「おっ、すげえじゃん」


「ありがとうございます。カイト様は、ドラゴンを討伐されたので器が昇華したのでしょう」


「え?あれだけでレベルってあがんの?」


「以前も言いましたがあのトカゲはこちらではそれなりなのですよ?」


「ん?じゃあなんであの受付嬢は新人の俺たちに許可出したの?」


「え?それは・・・・なぜでしょうね。きっとカイト様の力に気づいたのですよ」


「そうかな〜。ま、いっか」


早速ギルド行こうぜ。と我先に出ていった。



「ふう。ごまかせて良かった」


主人の前では決して気を緩めないアカネだが今回は珍しく肩の力を抜いた。


「まだ、そこまで侵食はされてなかった。とりあえず今後の方針を決めないと」


アカネの脳裏には”HR"と言う文字が浮かび上がっていた。

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