閑話 管理者の初仕事〜世界改変の裏側〜
我は、裁定者より作られた塔の天辺の管理者。
主な仕事は、天辺と下に続くダンジョンの管理。
裁定者が下界に降りてからというもの、ダンジョンへ来る人間が減っている。
天辺やダンジョン内で何かを生み出すには、DPが必要であり、我々眷属もDPを使い作られた。DPは、ダンジョンに入った人間の数と滞在時間、魔物が死んで魔素に変わることでDPへと還元される。
つまり、人間の活動力次第なのだ。それが最近減っている。原因を探るべくダンジョン攻略中の人間を観察してみた。
「な〜んか目に見えた成長がないよな〜」
「確かに。強さの指標って言うの?それにこのダンジョンも一千年経ってもよくわかってねえし」
な〜。とそんな会話が聞こえてきた。
「なるほど。そういうことですか」
と何かに納得した管理者はこの部屋に唯一存在する書物”聖書”を手に取り、何かを学び始めた。人間の時間で言うところの3日がすぎる頃、彼の頭の中は聖書の内容で埋め尽くされていた。
(なるほど。あれが今、主人がやろうとしている”お決まり”、テンプレというものですか。なるほど。実に興味深い)
まさに子は親に似ると言ったところか。
(では、主人とリンクが繋がったときに進言してみますか。それにしても主人はなぜ真っ先に”ステイタス”なるものを作らなかったのか)
裁定者は、作りたくても作れなかったのだ。さまざまな理由はあるが、1番の理由はアカネにある。彼女からの助言を受けて作らなかったのだ。
管理者が、すでに何度も読んだ聖書を読み返していると突然、主人とのリンクが繋がった。
「今すぐDPを消費して、世界の改変を!!」
守護者でありメイドであるアカネからの切迫した要求だった。
「内容は」
あくまで冷静に機械的に答えた。管理者とはこういうものだと聖書で学んだからだ。
要求の内容は、ギルドシステムへの介入と新たなシステムの導入だった。
(今だ!)と直感的に感じた。
管理者は、DPを消費し、一千年前のシステムに介入。さらに現代に戻り、主人が冒険者に登録した後に新たなシステムが生まれるように設定した。
”ステイタス”これが世界に誕生した瞬間だった。
かつてアカネに止められたこのシステムが世界にとって吉となるか凶となるか。
それは下界に住む人間に委ねられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます